木星の衛星に「地球外生命」の可能性 NASA探査機エウロパ・クリッパー、10月に打ち上げ
木星の衛星には「地球外生命」が存在する可能性が高い。各国の宇宙機関はすでにその調査を開始しており、NASA(米航空宇宙局)は10月11日(日本時間、執筆時予定、以下同)、新たな探査機エウロパ・クリッパーを木星に送り込む予定だ。 【画像】木星の周回軌道を航行するエウロパ・クリッパー ■地球外生命はどこにいる? 巨大ガス惑星である木星には地表がない。その成分は主に水素とヘリウムであり、天体中心に向かうほど密度と温度が高くなる。そうした天体に生命が生存する余地はない。しかし、木星を周回する衛星は、地球と同じように金属、岩石、氷などで構成され、条件さえ整えば単細胞生物やバクテリアなどが生息する可能性がある。 木星の衛星は現時点で95天体が報告されているが(確定は72天体)、なかでもイオ、エウロパ、ガニメデ、カリストは、衛星としては大きな質量を持つ。この4衛星はガリレオ・ガリレイによって1610年に発見されたことから「ガリレオ衛星」と呼ばれている。 ガリレオ衛星のうち、最も内側を周回するイオには活火山が多く、水は少ない。一方、その外側を周回するエウロパ、ガニメデ、カリストの地表は「氷殻」で覆われ、その下には塩分を含む広大な「内部海」があると予想されている。もし生命が存在するとすれば、この内部海に生息しているはずだ。 ■生命が存在する条件とは? ガリレオ衛星のうちで最も外側を周回するカリストは、氷殻が非常に厚く(深度100km以上とも言われる)、内部海に生命が存在したとしてもその調査は困難だろう。同衛星の探査は他に比べて進んでおらず、謎が多い。一方、エウロパとガニメデは、生命が存在する条件が最も整っていると予想されている。その条件とは、水、有機物、エネルギーだ。 有機物とは炭素、水素、酸素、硫黄などを材料とした化合物を意味する。それら元素が、内部海に吹き出す「熱水噴出孔」のエネルギーによって化学合成されれば、地球と同様、そこから生命が生まれる可能性がある。