木星の衛星に「地球外生命」の可能性 NASA探査機エウロパ・クリッパー、10月に打ち上げ
木星到着は2030年
4つのガリレオ衛星は、木星と各衛星の重力が相互に引き合うことで天体内に摩擦が起こり、「潮汐加熱」が発生している。エウロパ、ガニメデ、カリストが完全に凍らず、内部海を形成しているとすれば、それはこの熱によるものだ。であれば、その深海には熱水噴出孔がある可能性が高い。 ■木星到着は2030年 水、有機物、エネルギーが、エウロパにどれだけ整っているのか? それを探査するのがエウロパ・クリッパーの使命だ。予定通り10月11日にケネディ宇宙センターから打ち上げられれば、2030年4月に木星の周回軌道に入る。 当初NASAは、エウロパ・クリッパーを木星周回軌道に投入したあと、続いてエウロパの周回軌道に移行することを検討した。ただしエウロパの領域に留まれば、木星が放つ強力な放射線を耐えず浴びることになる。そのため同プランは却下され、その結果、ある程度の距離を保ちつつ楕円を描きながら木星を周回し、その運用中に約50回に渡ってエウロパに近づき、フライバイすることになった。 しかし、打ち上げが迫る今年7月、エウロパ・クリッパーが搭載するトランジスタが木星の放射線に耐えられないかもしれないというレポートがNASAから公表された。この問題には製造元であるNASAのJPL(ジェット推進研究所)やゴダード宇宙飛行センター、APL(ジョンズ・ホプキンス応用物理研究所)などが当たって解消されたようではある。ちなみに同機の電子機器はヴォルト(「金庫」の意)と呼ばれる厚さ9.2mmのアルミニウム亜鉛合金製のボックス内に収められ、木星の強烈な放射線から守られる設計になっている。 ■バスケットコートとほぼ同じ大きさ これまでにガリレオ、ジュノーの2機が木星周回軌道に入り、パイオニアやボイジャーなど7機が木星近傍をフライバイしているが、エウロパ・クリッパーはそれら過去の機体よりも大型の機体であり、打ち上げ時の質量は約6トン、うち2.75トンは推進剤が占める。