155ミリりゅう弾砲の発射訓練も 北富士駐屯地で創立記念行事
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海上自衛隊と米海軍の原子力空母との西太平洋上での共同訓練が報じられる中、富士山裾野にある陸上自衛隊の北富士駐屯地では恒例の駐屯地創立記念式典が開催された。山梨県内で唯一の自衛隊駐屯地。広く一般開放して行われ、多くの人が見学に訪れた。後藤斎山梨県知事や山梨県選出の国会議員らも来賓として出席。頻発する自然災害、緊張高まる東アジア情勢を受けて、自衛隊の活動に対する関心はより高まっている印象を受けた。 北富士駐屯地によると、同駐屯地は1960(昭和35)年に栃木県宇都宮市から第1特科連隊第5大隊が移駐して開設された。移駐は、地元の富士吉田市、忍野村、山中湖村の誘致活動によって実現したという。現在、同駐屯地には、陸上自衛隊第1師団に属する第1特科隊のほか、部隊訓練評価隊、基地通信隊などの計約700人の隊員が勤務している。 第1特科隊はいわば”砲兵部隊”。2002(平成14)年3月に新たに編成され、第1師団の火力戦闘部隊として155ミリりゅう弾砲(FH-70)を装備している。また、山梨県内の防災活動をはじめ被災地での派遣活動、海外からの国賓来日の際は羽田空港等での礼砲も担当している。
部隊訓練評価隊は、2000(平成12)年3月に全国唯一の部隊として新設された部隊。実践を想定して行われる訓練をカメラやコンピューターなどのハイテク機器でモニタリングし、隊員の基礎的動作、戦闘結果などを客観的なデータにもとづいて分析することを任務としている。全国の普通科中隊が北富士駐屯地内の富士トレーニングセンター(FTC)にて訓練を行い、その訓練を部隊訓練評価隊が評価し、得られたデータは陸上自衛隊の各種施策に反映されるという。 この日の式典では、観閲式、観閲行進が行われた後、第1特科隊と立川駐屯地の第1航空隊、練馬駐屯地の第1偵察隊の隊員が連携して訓練を披露、富士山を仰ぐ駐屯地グラウンドに155ミリりゅう弾砲の空砲がさく裂した。装甲車の試乗イベントなども行われ試乗希望者の長蛇の列ができていた。甲府市から小学生の息子と訪れたという30代の女性は、「子供が興味をもっているので連れて来ました。こうした催しを見るのは初めてです。自衛隊は地元の防災訓練にもくるので親近感があります」と話していた。会場には本格的な撮影機材を装備している人も多く、神奈川県から訪れた50代の男性は「趣味で30年くらい自衛隊の写真を撮っています。ここは後方部隊なので派手さはありませんが、FH-70の発射の様子が見れたのでよかった」と話していた。 東アジアの緊張は高まっているが、この日、北富士駐屯地には近隣から大勢の人たちが訪れ、家族連れも多く、終日、和やかな雰囲気だった。