不登校から“将来”をどう描くか。保護者が知っておきたい「心構え」と「選択肢」
特性に合った環境の選び方
お子さまの状況や特性をつかむと「不登校になったのは、今の学校がたまたま環境として合わなかっただけ」とフラットにとらえられるようになるでしょう。繰り返しになりますが、不登校は個人と環境のミスマッチに過ぎず、学ぶことそのものに不適合なわけでは決してありません。 子どもは、自分の特性にマッチした環境に置かれると、いきいきと輝き出します。私自身、実際にそのようなケースをいくつも目にしてきました。 では、具体的にどのようにお子さまに合った環境を選択していけばいいのでしょうか。いくつか例をご紹介します。 【●対面のコミュニケーションが苦手な場合】 対面のコミュニケーションが苦手な子どもでも、テキストコミュニケーションは問題なくできる、むしろ得意というケースも少なくありません。チャットツールでのコミュニケーションがスタンダードになっているような学びの場を探してみるのがよいでしょう。 【●友人関係や先生との関係が原因の場合】 スクールカウンセラーなどに、環境の整え方を相談してみましょう。また、友人関係のトラブルでは、SNSが原因になっているケースもあります。その場合は、SNSを絶つことも考える必要があります。 【●発達障害などの可能性が考えられる場合】 ひと口に発達障害といっても、特性はさまざまです。ものごとを早く処理するのが苦手、完璧主義で少しのミスも許せないなど、お子さまの特性に合わせて柔軟な対応をとりやすい、少人数で面倒見がよい環境を選ぶとよいでしょう。少人数であれば、合理的配慮も得やすくなります。
不登校からの進路の選択肢は多様にある
不登校からの進路には、さまざまな選択肢があります。高校一つ取っても、全日制もあれば通信制、定時制などが考えられますし、高卒認定をめざすことや、専門学校への進学、就職、留学(海外留学、国内地域留学)などもあります。 中でも通信制高校は、自分のペースで進路を築いていける場として、とくに注目されています。以前は「仕方なく行くところ」というイメージもありましたが、ここ数年でポジティブな選択肢に変化しつつあります。 その理由は、自分のペースで学習を進められて時間的余裕もつくりやすいため、やりたいことを見つけることに時間を割いたり、アルバイトなどで社会との接点をつくったりできるから。不登校の子どもは「学校にも行けていないのに外に出るなんて……」と自分に制限をかけて、家から出られないことも少なくありません。お子さまが無意識に感じている後ろめたさを和らげてあげるのが大切です。 お子さまが不登校になると、保護者のかたはもどかしい思いを抱えることもあるでしょう。しかし、進路の選択肢は多様にあるからこそ、焦らず、一度立ち止まってお子さまが自分自身と向き合う時間を取っていただけたらと思います。