野村AM社長、オルタナ比率「欧米並みの1割」に-専門人材拡充
(ブルームバーグ): 野村アセットマネジメントの小池広靖社長は、株式や債券以外のオルタナティブ(代替)投資商品の運用残高比率を将来的に1割程度に増やしたい考えを示した。年金基金などの機関投資家や富裕層を中心に投資ニーズは伸びるとみて、専門人材を拡充する方針だ。
小池氏はブルームバーグとのインタビューで、足元で2%程度にとどまるオルタナ比率を中長期的に「どこかのタイミングで欧米並みに引き上げたい」と述べた。人材については、運用残高の拡大と同時に「人も育てていければいい」として社内での育成に注力するほか、即戦力となる外部採用も強化する考え。
プライベートクレジット(企業向け融資)などオルタナ資産運用ビジネスは、米ブラックロックなど海外勢が先行しているが、分散投資を意識した投資家の需要などから日本国内でも広がりつつある。資産運用立国を目指し運用多様化を促す政府の動きも追い風に、野村AMは国内需要の取り込みを図る。
2月に同社が米投資会社のKKRなど約50社と共同で構築に取り組んでいる多様なオルタナ商品のプラットフォームも活用していく方針だ。小池氏は「世界中にあるハイクオリティーな商品をワンストップで提供できる」ほか、要望に応じた独自ポートフォリオの構築など「使い方は無限にある」と述べた。
野村AMの6月末の運用資産残高は約91兆4000億円。広報担当者によると、7月末時点では投資信託などに組み入れた株式や債券などの伝統的資産が98%を占める。
リスクに対する顧客の理解優先
プライベートエクイティー(未公開株、PE)やデリバティブ、不動産などを含むオルタナ商品は、株式や債券との連動性が低い一方で、流動性が乏しいなどのリスクもある。小池氏はオルタナ商品について「販売するのがとても難しい商品だと思っている」とも話す。
こうしたことから、野村AMが投資顧問を務める公募商品「ブラックストーン・プライベート・エクイティ・ストラテジーズ投信」の設定などには細心の注意を払ったという。リターンとリスクを顧客が十分に理解した上で販売されるよう野村証券を含む販売会社3社に計100回以上の研修を実施、フォローアップも行っていると説明した。