甘利大臣辞任会見(全文3)500万円のうち300万円をA秘書が私的に費消
閣僚の職を辞することを決断
私はアベノミクスの司令塔として安倍総理より日本経済のかじ取りを任され、この3年間、国務に命懸けで取り組んでまいりました。デフレの脱却、経済再生と、財政健全化の二兎の追求。成長戦略の実行、実現、社会保障、税一体改革の推進、そしてTPPの推進など、不眠不休で取り組んでまいりました。舌がんの病床においても、経済財政諮問会議の席上でも、あるいはTPP国際交渉の現場においても、この国の未来に思いをはせなかったり、国政に心を砕かなかったりした瞬間は一瞬たりともありません。国家国民のために文字どおり全身全霊で取り組んでまいったという自負があります。 しかしながらその一方で、気が付けば、その代償としてとしか言いようがないんですけども、私の政治活動の基盤である地元事務所および私を支える秘書の問題で、国民の皆さまに対し、大変恥ずかしい事態を招いてしまった事実が判明をしました。国政に貢献をしたいとの自分のほとばしる情熱と、自身の政治活動の足元の揺らぎの実態と、その落差に気が付いたときに、天を仰ぎ見る、暗たんたる思いであります。 この1週間、報道された事案の真の内容を知れば知るほど、いったい全体なぜこのようなことが起こったのか、自問を繰り返す日々が続きました。同時に、なぜ秘書は自分に報告、相談をしてくれなかったのか。忙し過ぎて地元に目が向かなかったことが原因か、などと深い悔恨の思いがおりのようにたまってまいりました。一介の秘書ではなく、よりによって地元、事務所長という、事務所を統括する立場の人間がその道を外れてしまったこと、いや、それ以上に、そうした自体に至っていることをおよそ報道されるまで見逃してしまった自分自身を責めました。もはや統括すべき人間が不在となる以上、事務所を一から立て直す責任は支部の代表者たる私自身にあります。あらためて地に足の付いた政治活動を実施していく責任が、衆議院議員としての私にはあります。 今回の事案報道により、野党の皆さまに経済演説を聞いていただけないばかりか、国会審議にも支障を来しかねない事態となりました。このことは、本来、安倍政権を支える中心的立場の人間が、逆に安倍政権の足を引っ張るという、安倍内閣の一員としての閣僚、甘利明にとっては誠に耐えがたい事態であります。何よりも希望を生み出す強い経済を推進してきた閣僚、甘利明が、そのポストにあることを理由とされて重要な予算審議に入れないなど、いささかといえども国政に停滞をもたらすことがあってはなりません。私自身に関わることが、権威ある国会でのこの国の未来を語る建設的な営みの足かせとなることは、閣僚、甘利明の信念にも反します。閣僚のポストは重い。しかし政治家としてのけじめを付けること、自分を律することはもっと重い。政治家は結果責任であり、国民の信頼の上にある。たとえ私自身はまったく関与していなかった、あるいは知らなかった、従ってなんら国民に恥じることをしていなくても、私の監督下にある事務所が招いた国民の政治不信を秘書のせいと責任転嫁するようなことはできません。それは私の政治家としての美学、生きざまに反します。 安倍内閣は、経済最優先で取り組み、わが国経済は緩やかな回復基調が続き、ようやくもはやデフレではないという状況までやってくることができました。15年以上続いたデフレの重力圏から脱却できるかの瀬戸際にあります。デフレから脱却し、強い経済を実現するためには、本予算および重要関連法案の一刻も早い成立こそが求められており、その阻害要因となるものを取り除いていかなければなりません。もとより私もその例外ではありません。 国会議員としての秘書の監督責任、閣僚としての責務、および政治家としての矜持にかんがみ、本日ここに閣僚の職を辞することを決断しました。先ほど、この会見の趣旨と私の辞意については安倍総理にご連絡をいたしました。この会見ののちに官邸に伺って、直接お伝えをいたします。ありがとうございました。