なぜ東大生は「議論が得意」なのか。彼らが世間一般より飛び抜けて「とても短い時間で」できることとは
フランス人留学生との忘れられない体験
あるとき、フランス人が腹筋用のベンチを使っていた。明らかに使い終わって、1mくらい離れたところで休憩しているタイミングで、後ろから声をかけた。 「Est-ce que tu l’utilise ?(これ使ってる?)」 フランス人は、振り返って笑顔で「Non」と言った。 そして、0.5秒ぐらいの間を開けて、少し驚いた表情でもう一度こちらを見た。 “二度見”だ。 初めてフランス人の二度見を見た。フランスにも二度見の概念があるのだろうか。 ぼくたちはフランス語で会話をした。 「フランス語が話せるのかい?」 「勉強してるよ」 「いつも日曜日に筋トレしてるの?」 「そうだね。でも夜に来たのは初めてだよ。留学生?」 「そうだよ」 「何を勉強してるの?」 「プログラミングだよ。君は?」 「ぼくは経済。名前はKenichiって言うんだ。君たちは」 「ぼくがマティンで、彼がカーオス」 「日本語は話せる?」 「全然話せない。日本語の授業はまだないんだ」 とても短い時間だったが、素晴らしい体験だった。フランス人の二度見をぼくは決して忘れないだろう。 ちょっとしたサプライズで他人に喜んでもらえると、効用が高まるのを感じる。
つづきの【後編】では、「『議論が得意』な東大生。彼らが凡人より飛び抜けて『とても短い時間で』できることとは」についてお伝えします。
さんきゅう倉田