【BCマイル】テンハッピーローズ・津村明秀に聞く 「まさか自分が…憧れのところで乗れるのはうれしい」
[GⅠブリーダーズカップマイル=2024年11月2日(日本時間3日)3歳上、デルマー競馬場・芝1600メートル] 今年のGⅠヴィクトリアマイルを単勝14番人気で制したテンハッピーローズ(牝6・高柳大)がBCマイルに参戦する。単勝208・6倍の大波乱を演出して自身初のGⅠ制覇を果たした主戦・津村明秀(38)は今回が初の海外レース騎乗。昨夏からコンビを組み続けるパートナーと挑む大一番に向けて、三嶋まりえ記者が胸の内を余すところなく聞いた。
ヴィクトリアマイル覇者テンハッピーローズと参戦
――セントウルSを振り返って 津村 BCを目指すとなってから、1回どこを使おうかとなって、セントウルS、毎日王冠、スプリンターズSがあり、僕の中では条件的に一番セントウルSがいいかなと思って、先生もそれで一致しました。千二でも流れに乗れていました。ヴィクトリアマイルでも(前半3ハロン)34秒を切る流れでも楽についていけましたし、対応できるだろうというイメージはあったけど、期待通りに中団で流れに乗れた。結果は7着でしたけど、ステップレースとしてはいいレースができたと思っています。 ――改めてヴィクトリアマイルを振り返って 津村 いま思えば完勝の競馬でした。人気馬を見ながら、あの中で4角までうまくいった馬かな。それがうまく結果も出て、それに応えた馬もすごかったです。左回りはいいなと思いましたし、全然、マイルでもいけるなと思った。 ――単勝14番人気を覆しての勝利 津村 ここまで人気がないのはおかしいな、一発あるよとは思っていた。期待感はありましたね。昨年の朱鷺Sを勝ったときに、〝来年のヴィクトリアマイルへ行きたいな〟と僕の中では思っていました。左回りの牝馬限定、東京でも走っている。感覚的にはいけると思っていたし、使ってみたいなと思っていたので、そこまでは絶対に乗りたいと思っていました。
「あの馬、好きなんですよ」
――そしてBCマイルへ。依頼をもらったときの気持ちは 津村 興奮しましたね。まさか自分がBCの舞台に立てるとは思っていなかったので。海外のGⅠの中でもBCはすごい立ち位置だし、アメリカ競馬は僕の中ではかっこいい存在なので。最近まで日本馬が行くことがなかったじゃないですか。今年は多いですけど、行って一年に1頭くらいでしたし、遠い存在だったし、想像もしていなかった。〝まさか自分が〟という感覚です。 ――GⅠ初制覇のテンハッピーローズとともに大舞台へ挑みます 津村 こうして初めてGⅠを勝たせてもらった馬で行けるのは最高のことです。海外は初めての騎乗になります。実は、アメリカ競馬は見に行ったことがあるんです。3年目くらいに。騎乗停止になって、師匠(鈴木伸尋調教師)に海外、アメリカ競馬でも見に行ってこいと言われて、確かサンタアニタかな。どのレースというよりは、騎乗停止になって見に行ってこいということになって。 ――印象は 津村 そのときも思ったけど、アメリカのジョッキーはすごいかっこいいし、僕のスタイル的にもヨーロッパよりはアメリカのスタイルで乗るタイプなので、アメリカのジョッキーをマネしているというか、そういうところがあるので。憧れのところで乗れるのはうれしいですよね。 ――テンハッピーローズとの相性 津村 あの馬、好きなんですよ。調教でも見せるけど、少し口向きに難しいところがある。結構、そういう難しいところがある牝馬が好き。この馬は若いときは福永(祐一)さんが仕上げてきたと思っています。福永さんとのコンビが僕の中では鮮明に残っていて、すごく相性がいいな…と。福永さんもこの馬は好きだろうと思っていました。福永さんが引退して、僕に依頼がきて、乗るたびに息も合ってきたし、この馬のことを分かっているつもりです。ベースは福永さんがつくってくれましたけどね。福永さん、ヴィクトリアを勝ったときは驚いていましたよ。〝勝つか〟って(笑い)。