断熱等級5の100平米の家「結露や温度差の悩みがなくなった」。都内の旗竿地&住宅密集地ならではの工夫も 東京都中野区・Aさん家族【断熱新時代・住宅実例】
2階のランドリースペース。家の中の湿度が低く、窓から日差しも入るため洗濯物もよく乾くという。
高気密・高断熱住宅が日本の住宅市場の課題を解決する糸口に
ご夫婦は、家づくりについて「情熱を注ぎきった」と振り返ります。気密・断熱について学び、土地や工務店を探し、家づくりを進めるなかでは苦労も多かったといいますが「これ以上の家はつくれない」と非常に満足されています。 「高気密・高断熱の住宅を建てるには、それなりのコストがかかります。光熱費だけで割り戻すとあまり差がないかもしれませんが、住んでいる間の快適さやコミュニケーションの取りやすさ、仕事や勉強の集中力、家族の健康などさまざまなことを考慮すれば、圧倒的にコスパは高いと思います。 個人的には『建てて壊す』というのが当たり前になってしまっている日本の住宅市場に疑問を持っていて。住宅性能が高ければ、僕たちが住んだあともまた誰かが住みたいと思ってくれるはずです。みんなが思い入れを持って家を建てて、日本の家全体の性能が高くなれば、こういった課題も解決されるのではないでしょうか」(夫) Aさん家族のお住まいに伺ったのは、小雨が降る初夏の日。家に一歩入ると、外のじめじめとした湿気を含んだ空気が一変しました。風や冷気を感じるわけではなく、「涼しい」というよりは「不快感がなくなった」というイメージです。1年中、快適な温度・湿度で過ごすことができれば、暮らしは大きく変わることでしょう。また、Aさん(夫)の言うように、住まいの高性能化は日本の住宅市場をも大きく変える可能性があります。 日本の住宅は他国と比べると性能が高いとはいえませんが、2025年にはすべての新築住宅に省エネ基準への適合が義務づけられます。さらに、遅くとも2030年までにはその基準がZEH水準にまで引き上げられる予定です。今は、日本の住宅が変わっていく過渡期。高気密・高断熱が「当たり前」になっていくのも、そう遠くないのかもしれません。 ●取材協力 ジェネシス ●関連サイト 国土交通省「快適・安心なすまい なるほど省エネ住宅」
亀梨奈美
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