【陸上】男子走高跳・全中王者の清水怜修がジャンプオフ制す 山﨑天心が短距離2冠 女子200mは同記録V/IH南関東
◇インターハイ南関東地区大会(6月14~17日/東京・駒沢陸上競技場、大井陸上競技場)3日目 インターハイ南関東大会優勝者一覧をチェック! 夏の福岡インターハイ出場を懸けた南関東地区大会の3日目が行われ、酷暑の中でも多くの好勝負が生まれ、男子走高跳は1位と6位に2人が同記録、同じ失敗試技数となり2つの決定戦が同時に行われた。 男子走高跳の優勝争いは、実績ある1年生と、急成長中の3年生による異色のマッチレースが白熱する。昨年の全中優勝者である清水怜修(明星学園1東京)は1m90を皮切りに、1m95をパスして1m98、2m01を軽やかにクリア。谷垣雄大(駒場3東京)は東京都大会を3位(1m98)で通過していた選手。こちらも1m90から4度の試技を無傷で進み、自己タイの2m01を鮮やかに越えた。 2m04に清水と谷垣、星海成(板橋1東京)の3人が挑戦。星は1m98を3回目に、2m01を2回目にバーを揺らしながら成功させて食い下がったが、ここで力尽きる。東京都勢は1~4位を占めた。 清水がこの2m04で2回の失敗を経るも、いずれも十分な高さを出してきた。踏み切りに頼っていた跳躍を、持ち味のスピードを生かしたものに改良。遠ざけた踏み切り位置から幅の大きなジャンプを生み出す。失敗を経て踏み切り位置を調整。3回目になって、バーに触れないクリアランスを決めた。 対して、谷垣による2m04の1、2回目。上から落ちたお尻でバーを落としていた。絶対絶命と思われた3回目、リズムで弾む助走から、持ち味の踏み切りで183cmの長身に上昇力を生む。起死回生のジャンプで清水に並んだ。 2m07を2人とも失敗し、同失敗試技数でジャンプオフ(1位決定戦)へ。2人とも「陸上人生の中で初めて」。清水は「1回でも失敗したらいけない」と身構え、谷垣は「驚きましたが、また2m07に挑戦できるのか! と思いました」とますます身体を弾ませた。 ジャンプオフは最後に設定した高さである2m07からスタート。両者が成功すれば2cm上げ、両者が失敗したら2cm下げて続行。成功と失敗に明暗が分かれるまで、エンドレスの攻防戦だ。疲れが見える中で、2人は2m07と2m05に失敗。2m03で清水が成功、谷垣が失敗して決着がついた。 清水はジャンプオフに入ってから手拍子を誘導。スタンドも呼応してショーアップ。ただ内心は緊張していて、「仲間の大応援に励まされました」と感謝した。高1歴代最高の2m15を目標に掲げている。 谷垣は「実績ある彼に引っ張ってもらえました。楽しかったです」と、敗れてもすがすがしい表情。高1の時に腰椎分離症を、高2の12月には椎間板ヘルニアを患い、長い間痛みと付き合いながら「その中でもできることに取り組んできました」。5月に入ってからこれまでの痛みが劇的に改善し、短期間で跳躍を作ってきた。今回の自己新をステップに、2m10の大台を望む。 もう1つのドラマが、全国大会出場者決定戦。通常の地区は1位決定戦を終えた後に行うのだが、北関東の熱戦を終えた後の隣のピットを有効活用。足合わせを行い、隣で白熱中の1位決定戦からやや遅れてスタートした。朝岡光輝(八千代松陰2千葉)とが浅野敦哉(旭丘3神奈川)が切符1枚を争った。 こちらは、1m98を両者が失敗。続いて1m96を両者とも成功。そして再び戻った1m98で決着。後攻の朝岡が「5度目の挑戦」で成功させた。全国出場者決定戦に敗れても6位であることは変わらない。 このほか、男子200mは山﨑天心(城西3東京)が21秒15(-1.2)で制し、100mとの2冠を達成。男子800mではフェリックス・ムティアニ(山梨学院2山梨)が1分48秒95の大会新記録で1500mと2種目優勝を飾った。女子200mはバログン・ハル(市川1千葉)と、ロス瑚花アディア(城西3東京)が24秒10(-2.8)の同タイムで2人が1位となり、女子800mで優勝した田村遥香(法政二3神奈川)は1500mとの2冠を果たしている。 全国インターハイは7月28日から8月1日に福岡・博多の森陸上競技場で開催。各地区大会上位6位までが出場する(※男女競歩は5位、女子棒高跳、女子三段跳、女子ハンマー投は4位まで、混成は3位+各地区4~6位の記録上位5名)。
奥村 崇/月刊陸上競技