注目のプロジェクターブランド「XGIMI」CEOに聞く“日本での販売戦略”と5つの新製品の魅力
ホームプロジェクターメーカーのリーディングカンパニーとして知られるXGIMIから『HORIZON S MAX』『HORIZON S Pro』『MoGo 3 Pro』『Elfin Flip Pro』『Halo+(NEW)』という5製品が発表された。 【写真】アウトドアシーンでも使える『MoGo 3 Pro』 今回はXGIMI・CEOのSteven Luo氏のコメントも交えながらポイントを解説していきたい。 ■日本限定アイテムも含め全5アイテムを日本史上に投入 まず概要から解説すると『HORIZON S Max』と『HORIZON S Pro』は、XGIMIの2トップを飾るハイエンドモデル。『MoGo 3 Pro』はスタンド一体型高画質ポータブルモデルだ。こちらの3製品はバッテリーを内蔵していないので電源が必要だ。『Elfin Flip Pro』は日本のユーザーへのヒアリングから生まれた、薄型のポータブルモデルでこちらはスタンド一体型。『Halo+(NEW)』は2021年に発売された『Halo+』の後継機。700ルーメン(ISO)の高輝度ポータブルモデル、という位置付けであり、こちらの2製品はバッテリー内蔵タイプとなっている。 XGIMIは「(機械に疎かった)母でも使えるプロジェクター」を目指して誕生したブランドとして、「ユーザーの使いやすさ」を考えた数々の製品を生み出してきた。2013年から活動を開始し、現在ホームプロジェクターの世界累計出荷台数1位のブランドにまで成長した。 今回発表された製品群に感じたのは、従来の製品と比べて「ユーザーの使いやすさ」が製品の外観にも現れている点だ。家電と家具の中間を目指すようなデザインは、部屋の中でも悪目立ちしない。しかし手にとってみるとそのディテールにはガジェット的な満足感を覚える。 5アイテムそれぞれに強みがあるが、注目となるのは最高スペックを誇る『HORIZON S Max』と、前モデルから大きなリニューアルを果たした『MoGo 3 Pro』だ。 ■「IMAX Enhanced」と「Dolby Vision」に対応したハイエンド機『HORIZON S Max』 『HORIZON S Max』はXGIMIの中でも最高スペックを誇るホームプロジェクターだ。4K対応、3100ルーメン(ISO)の高い明るさ、1000000:1というコントラスト比など非常に高い性能を備えている。レーザー光源とLED光源を組み合わせた「Dual Light 2.0」を搭載することで、輝度、色域、色再現精度、コントラスト比の面で前モデル『XGIMI HORIZON Ultra』から大きく性能を向上させた。本体はスタンド一体化となっており、360度の水平調整。135度の垂直調整が可能。もちろん天井投影も可能となっている。 インテリジェント環境適応技術「ISA 5.0」を搭載しており、中断なしによる自動台形補正やオートフォーカス、壁色に応じた自動色調整、スクリーンへの自動アジャスト、障害物の自動回避といった機能が使用可能。どんな環境でも最高の映像品質を実現する。 また『HORIZON S Max』は「Dolby Vision」と「IMAX Enhanced」の2つの認証を受けたモデルとなっている。中でも「IMAX Enhanced」はIMAXが定めるアスペクト比、画質、音質における厳しい基準を満たしたデバイスに対して与えられる認証だ。ホームプロジェクターとしてこれを達成した製品は少ない。 「Dolby Vision」と「IMAX Enhanced」の認証は音質面でも高い基準を満たしていることを意味する。アメリカのオーディオブランド「Harman Kardon(ハーマン・カードン)」の12Wスピーカーをボディの前後に合わせて2基搭載しており、本体に対してどの位置からでも、大迫力のサウンドを体感できる。 価格は32万9800円。予算規模の大きいハリウッド大作映画などは「IMAXで観てこそ」という風潮も強い。もちろん映画館でのIMAX鑑賞体験とは完全に異なるものだが、自宅の映画鑑賞の質を飛躍的に向上させる製品だと考えればそれなりに納得感のある価格設定ではないだろうか。発売は2024年の10月以降を予定している。 ■前身モデルから劇的な進化を遂げた『MoGo 3 Pro』はアクセサリーも充実 『MoGo3 Pro』は、1080pの高解像度を誇るポータブルプロジェクターとして登場した「MoGo」シリーズの第3世代となるモデルだ。これまで同シリーズのアイテムは丸みを帯びた直方体のフォルムを特徴としていたが、今回からデザインを一新。スタンド一体型となる円柱形のボディを採用し、より洗練されたフォルムとなった。 「MoGo」シリーズでは最高となる450ルーメン(ISO)の明るさを備え、最大で200インチ(約4.4m×2.4m)の大画面での投射が可能。明るい部屋での利用は難しいかもしれないが、日中でもカーテンを締め切っていれば、物理モニターとも遜色ない美しい映像を堪能できる。発表会では屋外に設置したテントの中での実演を行っていたが、外光に押し負けているような印象はなかった。 こちらもHarman Kardonの5Wスピーカーを2機搭載したことで、パワフルな低音とクリアな高音を楽しめる。また本体を収納した状態では、スピーカーとしても使用可能だ。プロジェクターは使用頻度が少なくなってしまいがちなアイテムなので、別の用途でも使えるのは非常に嬉しい。 ■アクセサリー類も充実しアウトドア使用もOK 本体の持ち運びには、人工皮革で作られた専用ケースが用意されている。しっかりとした作りと、深い緑の上品な風合いが特徴。ガジェット用のケースらしからぬ佇まいが嬉しい。 本体はバッテリー内蔵ではないので、電源の確保が必須。そこで『MoGo 3 Pro』用に設計された「バッテリー付きスタンド」が活躍する。バッテリー容量は20,000 mAh。およそ2.5時間の動画再生が可能だ。本体との接続はUSBケーブルで行う。2本のポールによる組み立て式となっているので、カバンに入れての持ち運びもできる。 最も印象的だった専用アクセサリーが「マジカルレンズ」だ。本体に装着して使う拡張レンズだ。装着することで、投射する映像が5倍以上の大きさに拡大される。さらに周辺のピントをあえてぼやけさせることで、映像に独特の立体感を与え、部屋全体を映像で埋め尽くすような、非常に没入感の高い環境を生み出す。星空の映像を映して自室をプラネタリウムとするもよし。アンビエント的な映像を流して空間を演出するもよし。色々な使い方ができそうだ。 本体、アクセサリーとも発売中。価格は『MoGo 3 Pro』が7万9800円、『XGIMI バッテリー付きスタンド』が1万4800円、『XGIMI MoGo 3 Pro専用ケース』が6900円、『マジカルレンズ』が7900円となっている。 ■TOP自らも製品開発に取り組んだ『MoGo 3 Pro』はイチ推しのプロジェクター 今回、リアルサウンドテック編集部ではCEOのSteven Luo氏にコンタクト。日本市場への思いやオススメのプロジェクターなどについて伺った。 ーー今回、日本限定プロジェクターなども投入されましたが、どのような狙いがあったのでしょうか? Luo:日本の消費者は高品質な製品を求める傾向にあり、それに応える製品を作ることで弊社はプロジェクターの質を高めてきております。特に小型化とバッテリー内蔵などについては非常に難易度が高いリクエストでした。しかし、これらを克服してきたことで弊社はプロジェクター市場で世界一を達成する能力を得てきました。弊社ではプロダクトデザインから開発まで一貫した生産体制を構築し、日本限定アイテムも生み出すことも可能です。 ーーその高い技術から一挙、5アイテムを一挙投入してますがLuo氏のオススメのスピーカーについてお教え下さい。 Luo:(手に持っている)『MoGo 3 Pro』ですね。こちらは室内はもちろん、アウトドアシーンでも使えるプロジェクターになります。実はこちらのアイテムは私のアイディアが反映されておりまして笑。かつては技術方面も担当しておりましたので、首振り型の投影スタイルなどこだわりました。これにより格段に使い勝手が向上しておりますので是非、活用頂きたいなと。 ーープロジェクターを下に向けたらライティング&音楽モードに切り替わるなどギミックが多いプロジェクターでガジェットとしても楽しめました。 Luo:ありがとうございます。今後は量販店での展示を強化したり、タッチ&トライの場所も設けていきたいと思いますので是非、みなさまに手にとって体験頂きたいです! 世界一のプロジェクターメーカーの代表自らが手掛けたアイデア満載の 『MoGo 3 Pro』は今年後半で気になるプロジェクターの筆頭格。XGIMIの新型プロジェクターは今後も要注目だ。
赤井大祐