バッテリーと荷室は「モア・イズ・モア」! フォルクスワーゲンID.7 ツアラー・プロSへ試乗
サルーンと遜色ない動的能力 勝る訴求力
乗員側のインテリアデザインは、サルーンのID.7と共通。空間には余裕があり、小物入れが各所にあり、15.0インチのインフォテインメント用タッチモニターがダッシュボード上に載る。各機能の操作性は良好といえる。 最新のソフトウエアが実装され、ヘッドアップ・ディスプレイもアップル・カープレイとアンドロイド・オートに対応。スマートフォンで設定したナビ情報が、フロントガラスにも投影されるようになった。 走らせてみれば、ルーフラインが伸びたボディを背負っていても、優れた動的能力はサルーンと遜色ないことがわかる。車重は9kgしか増えておらず、2239kgとそもそも軽くはないから、ウェイトハンデは極めて限定的といっていい。 286psを発揮する駆動用モーターは、0-100km/h加速を6.7秒で処理。軽々と高速域へいざなう。カーブが連続する区間では身軽に旋回し、充分にドライバーを楽しませてくれる。ID.7 ツアラー・プロSの得意分野は、気張らないクルージングだとしても。 ツインモーターの高性能仕様、ID.7 GTXはツアラーでも選択可能だが、パフォーマンスの違いは限定的。少しシャープな操縦性を披露するものの、短くなる航続距離や上昇する英国価格を踏まえると、訴求力でプロSに勝るとはいい難い。 実用性に軸足があるバッテリーEVでは、幅広い多能ぶりが、より多くの人の共感を得るはず。走りはそのままに、小さな価格上昇で、一層の航続距離と荷室容量を得たID.7 ツアラー・プロS。サルーン以上に、望ましいモデルだと思う。
フォルクスワーゲンID.7 ツアラー・プロS(欧州仕様)のスペック
英国価格:5万6140ポンド(約1078万円) 全長:4961mm 全幅:1862mm 全高:1551mm 最高速度:180km/h 0-100km/h加速:6.7秒 航続距離:690km 電費:7.0km/kWh CO2排出量:- 車両重量:2239kg パワートレイン:永久磁石同期モーター 駆動用バッテリー:86kWh 急速充電能力:200kW 最高出力:256ps 最大トルク:55.4kg-m ギアボックス:1速リダクション(後輪駆動)
ジェームス・アトウッド(執筆) 中嶋健治(翻訳)