トランプ氏「アメリカをビットコイン超大国に」かつては批判も…“親”暗号資産に転換 思惑は―
■かつて批判した暗号資産を絶賛 トランプ氏の思惑は…
かつてトランプ氏は、ビットコインをはじめとする暗号資産に懐疑的だった。大統領在任時の2019年には、自身のSNSで次のようにコメントしている。 「ビットコインやその他の暗号資産は、お金ではない。その価値は、非常に不安定で私は好きではない」 さらに、ビットコインが急騰した2021年には、ビットコインは「アメリカドルに対する詐欺だ」などと強く批判したと現地メディアが伝えている。 大統領選が迫る中、トランプ氏が“親”暗号資産に転換した背景には、資金力のある暗号資産業界からの献金拡大や暗号資産に関心のある若者の票を取り込む狙いがあるとみられる。トランプ氏は演説で、5月に21日にアメリカの主要政党の大統領候補者として初めてビットコインなどの暗号資産での献金受付を開始し、すでに2500万ドル(約38億5000万円)を集めたと主張。かつて批判していた暗号資産を絶賛した。 また、ビットコインなどの暗号資産が、アメリカの有権者の間で普及しつつあることも、トランプ氏の暗号資産政策につながっていると考えられる。暗号資産取引所大手「GEMINI」が、アメリカ人1200人を対象に行った調査によると、5人に1人以上が暗号資産を保有しているという。また、暗号資産保有者の73%が「大統領選で投票する際、候補者の暗号資産に対する姿勢を考慮する」と回答したとしている。
■銃撃事件後にビットコイン上昇
7月13日に起きた銃撃事件を受け、市場では大統領選でトランプ氏が勝利するとの見方が広がり、ビットコインの価格は上昇。さらにトランプ氏が27日に「アメリカをビットコイン超大国にする」と宣言したことで、ビットコイン価格は29日に7万ドル付近まで回復。6月上旬以来の高値を付けた。 一方、イギリスのフィナンシャル・タイムズは27日、民主党・ハリス陣営が暗号資産の大手企業と接触したと報じた。トランプ氏が暗号資産業界との関係を強める中、民主党と暗号資産業界の関係を修復する狙いがあるとしている。 ビットコイン価格の急騰とともに政界への影響力が増す暗号資産業界。11月の大統領選挙に向け、両陣営による暗号資産をめぐる論戦も本格化するとみられる。