国王が被災地訪問、住民は抗議 泥投げ騒然 スペイン洪水
【パリ時事】スペインのフェリペ国王は3日、大規模洪水で200人超が死亡した東部バレンシア自治州を訪れた。 【写真】消防隊員を激励するフェリペ国王 被害が大きい州都郊外パイポルタをレティシア王妃らと共に見舞ったが、支援の遅れに不満を募らせた被災住民が抗議。警護隊ともみ合いになり、現場は一時騒然とした。 パイポルタでは少なくとも60人が犠牲になった。道路が寸断され、水・食料は不足したままだ。住民らは災害で「全てを失った無力感」(公共放送)や憤りを抱え、国王一行に泥などを投げたり、シュプレヒコールを上げたりする者もいた。 王妃の護衛は負傷、流血した。国王と王妃は顔や着衣に泥を浴びても、被災者との対話を続けた。ただ、この日計画していた別の被災地の訪問は騒動を受けて延期された。 パイス紙(電子版)によると、随行したサンチェス首相は国王より先に現場を離れ、無事。記者団に「あらゆる形の暴力」を非難すると訴えた。 一方、プエンテ運輸相は3日、水害の死者が214人に達したと明らかにした。行方不明者の捜索は住宅の地下室や冠水した駐車場を中心に行われているが、水没した車の撤去や排水に時間を要していると説明した。