「地元に戻れば奨学金補助」最大150万円、県が募集…「都市部に人材奪われている」Uターン就職促進に
福井県はUターン就職を支援する「奨学金返還支援制度」の利用状況に余裕があるとして、20人程度を追加募集している。2024、25年度に県外の大学や大学院などを卒業、修了見込みの県出身者らが対象。県内企業に就職すれば奨学金の返済費用を最大150万円補助する。新卒学生のUターン率は伸び悩んでおり、県は「年末年始の帰省時などに制度の活用を検討して」と呼びかける。(内田郁恵)
同制度は、県内企業で深刻化する人材難の解消を目指し、県が16年度に創設した。専門職、技術職などでUターン就職し、県内に定住する意思があると認められれば、日本学生支援機構(JASSO)などに返済した奨学金のうち、大卒者には5年間で最大100万円、院修了者には同最大150万円を補助する。
当初、対象業種は建設、情報通信などに、学生が所属する学部は理系にそれぞれ限定し、募集人数も30人だった。しかし、学生や企業からの要望を受け、対象業種に医療・福祉や製造業を加え、23年度からは学部の要件を撤廃。募集人員も100人まで拡大した。
同制度をはじめとする県のUターン促進策もあり、かつて2割程度だったUターン率は10年代中頃から上向き、18年度卒の学生では32・1%に上った。
しかし、新型コロナウイルス禍の収束で企業の採用意欲が高まると、都市部での就職を選ぶ学生の割合が増加。23年度卒のUターン率は27・9%にとどまった。県定住交流課の担当者は「就職活動の早期化もあり、都市部に人材を奪われている」と危惧する。
一方で、奨学金を受給して進学する割合も近年、増えている。JASSOの調査では、22年度は大学(昼間部)で55%に達し、18年度から7・5ポイント上昇した。担当者は「返済にあたってはとても心強い制度だ。学生や親御さんへ、さらなる周知を図りたい」としている。
追加募集の応募締め切りは来年1月22日。制度の詳細は専用サイトから。県の条件を満たせなくても、県内12市町が設ける同様の支援制度を利用できる場合がある。