「キンプリファンの感情を逆撫でした」 “炎上知らず”のアサヒビールアカウントが「キンプリいじり」に便乗した失策・・・“ネットミームに便乗”の落とし穴とは
個人であれば許容される投稿でも、企業が行うと問題視されることは多々ある。 同年の10月11日の「国際カミングアウトデー」において、花王、自衛隊、宅配すしチェーン「銀のさら」が公式SNSアカウントで行った投稿が批判を集めた。 この日は、LGBTQ+の人たちが、自らの性的指向をカミングアウト(開示)することを推奨する日でもある。これに便乗して、各組織のアカウントが、あまり知られていない組織の裏ネタを「カミングアウト」したのだった。
別の日に、普通に投稿をすれば問題はなかったのだが、カミングアウトデーに便乗して投稿してしまったことが「性差別」「LGBTQ+へのリスペクトが足りない」批判をされたのだった。 アサヒビールの件に戻ると、筆者はこの“炎上”が起きたときに意外に思えた。大手の飲料メーカー・酒類メーカーの多くは、何度か“炎上”を起こしているが、アサヒビールはあまり炎上を起こさない企業だ。 2021年の東京五輪・パラリンピックの際に、ゴールドパートナーでもある同社が会場で酒類を提供することに対して批判が殺到し、提供停止を決定するという事態が起きた。ただし、これはアサヒビールというよりは、五輪組織委員会の決定の問題であり、同社が起こした不祥事とも言いがたい。
アサヒビールは、広告・宣伝に関しては、よく言えば慎重、悪く言えば保守的な企業であるように思う。だからこそ、これまで大きな炎上は避けられてきたとも言える。 今回の場合は、参照されたキンプリの投稿が「知る人ぞ知る」レベルの事例だったがゆえに、社内のチェック機能が働かなかったのかもしれない。 ■成功した「日清食品」と「シャープ」 一方で、インターネットミームを巧みに活用して成功している事例もある。例えば、日清食品は、話題化している「強風オールバック」の楽曲・動画とコラボしたCMを制作して話題化に成功している