「キンプリファンの感情を逆撫でした」 “炎上知らず”のアサヒビールアカウントが「キンプリいじり」に便乗した失策・・・“ネットミームに便乗”の落とし穴とは
その際に「待ってこれ 手震えるんだけど」という言葉を添えていた。少々強引な推理ではあったが、これは当時のキンプリファンの動揺を示すエピソードとして知られている。 これをきっかけに、投稿文章の中から文字を選んでつなげて、別の意味を込めたり、読み取ろうとしたりする行為がSNS上で流通し、「キンプリ構文」と呼ばれるようになった。 アサヒビールの投稿は、賛否あったキンプリファンの行動をいじるもの、そしてキンプリ分裂という「悪いニュース」を想起させるものだっただけに、ファンから批判の声を浴びる結果となった。
また、「手が震える」という一文が、アルコール依存症を想起させ、酒類メーカーの投稿として不適切だという声もあった。 アサヒビールは、投稿の翌日に当該投稿を削除し、「2024年10月2日21時のポストにおいて、配慮に欠けた表現がございましたので、当該ポストを削除させていただきました。ご不快な思いをおかけしましたことを、謹んでお詫び申し上げます」と謝罪した。 ■企業が積極的に活用する“インターネットミーム”
筆者もそうだが、多くの人は、削除と謝罪がニュースになってから知ったように思うし、報道を見ても、何が起きていて、何が問題だったのか、すぐには理解できなかったように思える。 それゆえに、「削除する必要はない」という声も少なからず見られた。しかし、この投稿はやはり適切ではなかったと思うし、早々に削除して謝罪投稿を行ったことは、事後対応としては適切だっただろう。 今回のような「炎上事件」は、多くの企業が直面してきたことであるし、これからも起こしかねないことだ。いま一度振り返って学ぶべきところは大きいように思う。
最近、「インターネットミーム」という言葉がよく使われる。 「ミーム(meme)」とは、生物学者リチャード・ドーキンスによる、英語の「gene(遺伝子)」と、ギリシャ語「mimeme(模倣)」を組み合わせた造語だ。ミームは、模倣によって人から人へと伝達し、増殖していく文化情報や文化遺伝子のことを指している。 そこから発展して、インターネットを通してさまざまな人が模倣して広がる文化や行動のことを、「インターネットミーム」と呼ぶようになった。