「もやしはなぜ安い?」消費者の''当たり前''が、生産現場に押し付けている''無理''
商品の適正な価格を知る
生産にかかるコストを総合的に考慮すると、もやしの販売価格としては、1袋40円前後が「適切」だという林さん。とはいえ、生産者の立場からは、小売店で売られている価格について「なにも言えないのが現状」だと語る。 このように、適正な価格で商品が売買されず、生産者がしわ寄せを受けているという課題は、決してもやし業界に限ったものではない。林さんはもやし以外でも、様々な生産者が苦しい状況に陥っていると指摘する。 「例えば昔と比べると、町のお豆腐屋さんの数はだいぶ減ってしまいましたよね。効率化や合理化を推し進めた結果、生産量や生産規模を拡大できる一部の企業だけが生き残り、小規模に事業を営む生産者の多くが廃業に追いやられている。今私たちの身の回りで起きている行き過ぎた競争や、一部の企業による寡占化などについて、改めて考え直すことが必要なのだと思います」 普段の買い物で何気なく目にしている商品やサービスの価格、そしてそれらの生産に携わる人々や過程について改めて考えてみると、身近な社会課題に気づくことができるのかもしれない。
取材:三菱電機イベントスクエア METoA Ginza "from VOICE"