チェッカーまであきらめない…チャンピオンチームに起きた最終戦・ラスト3分の逆転劇 モリゾウさんが語るレースの未来【スーパー耐久2024】
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霊峰富士も見守る運命の一戦。11月17日(日)、富士スピードウェイ。 スーパー耐久は1年にわたるシーズンの最終戦を迎えた。 ピットの前で円陣を組むのは、中升(ぞんせん)ルーキーレーシング。 監督とドライバーを兼任する片岡龍也が口を開いた。 「とにかく自分たちの力を出し切って、どんな結果が出たとしても、満足してやり切ったという形にしたいので、よろしくお願いします!」 スタッフ: みんなで頑張っていきましょう!ワンチーム! 全員: ジャンボ! ピットでスタートの時を待つ中升ルーキーレーシングのマシン。昨年のチャンピオンチームの証、カーナンバー1が付く。 2連覇を目指した今シーズン。開幕から2連勝を飾ったものの、チームは苦しい状況に追い込まれていた。 ST-Xクラスでのチャンピオン争いは、4チームがひしめく大混戦。 3位のルーキーレーシングは、このレースに勝利しても、ライバルの順位次第では、逆転できない状況にあった。 レーシングスーツに着替えた片岡は、気を引き締める。 「チャンピオンを獲りたいのはみんな同じですけど、ただ自分たちではどうこうできるものではないので、とにかく攻めの姿勢、勝つ可能性のあることに懸けていきたいと思います」 4時間に及ぶ運命の最終戦・決勝。 スタートドライバーを任された、ジュリアーノ・アレジは、3番手から前を伺う。 その走りをピットで見ていたのが、第2ドライバーの鵜飼龍太(うかいりゅうた)、48歳。 「このレースのポイントは自分がミスをせずにしっかり走り切って次のプロに渡すこと。自分の役割をまずはきっちり果たす」 実は、鵜飼はプロレーサーの中に、1人混ざる「サラリーマンドライバー」。 スーパー耐久では、アマチュアドライバーの登録が義務付けられている。長いレース時間の中で、どのタイミングで起用するかが、戦略のカギとなっている。 レース開始から30分。チームは鵜飼をコースに送り出した。 しかし、スーパー耐久最終戦は、ここから波乱の展開を迎える。 コース上で起きたクラッシュでガードレールが大きく破損。 その修復作業のため、レースは赤旗による中断となった。 約1時間後、レース再開。予想外の展開でも、鵜飼は冷静な走りを見せた。 これでルーキーレーシングは、今回のレースでアマチュアドライバーに課せられた規定時間60分を走り切り、順位も2位まで上げることに成功する。 自らの役割を果たした鵜飼にスタッフも声をかける。 「ナイスナイスナイス!」 さらにこの直後、レースは再び赤旗で中断。 第3ドライバーの片岡は混乱の中でも、ノーミスで走行を重ね、1位に立つが、2位はランキングトップのライバルチーム。 レースに勝ったとしても、逆転チャンピオンは不可能な状況だった。 しかし。残り3分で、ライバルチームがピットへ。 2度の赤旗中断による混乱で、アマチュアドライバーの規定時間を満たすことができていなかったのだ。 このピットインで、ライバルチームが4位に転落。 これで逆転の条件を満たしたルーキーレーシングがトップでチェッカーフラッグ。 荒れたレース展開の中でも、冷静にピット戦略をこなし、ノーミスで走り切ったことで、奇跡の2連覇を達成した。 片岡もやり切った表情を見せた。 「やはりチーム力ですね。とにかくミスがないですし、いつも最高の状態で1年通して走ることができた。最後はみんなの気持ちも一緒に、非常にドキドキしましたけど、本当に2年連続でチャンピオンが獲れて最高です」 最終戦で生まれた劇的な逆転劇。 プロとアマ、そして、チームが一丸となってつかんだ勝利だった。 (映像提供:STMO)
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