関西学院大学アメフト部で大麻疑惑…アメフト協会の公式発表を大学側が「真っ向否定」の裏にあった軋轢
大学アメリカンフットボール界で、またもや違法薬物の使用疑惑が飛び出した。 日本アメリカンフットボール協会は8月30日、関西学院大学アメフト部所属の5選手について、「重大な規律違反があった」として処分したことを発表した。そのうちの1人については、大麻を含むとみられる物質を所持・使用したとして、日本代表選抜資格について無期限停止処分とした。 【画像】自転車に跨り颯爽と…監督の指示で“タックル問題”を引き起こした「日大アメフト生」のその後 「5選手の規約違反が発生したのは今年6~7月にかけてカナダで行われたアメフトのU-20世界選手権の最中です。今後、一切代表活動に呼ばないというのは極めて重い処分と言えます。代表資格停止処分の選手以外の4人にも、厳重注意をした上で有期の日本代表選抜資格停止(1~2年間)とし、さらにその中でも程度が重かった1人については、協会から関学側に6ヵ月間の対外試合出場停止が勧告されました。 関西学院大学アメフト部『ファイターズ』といえば、学生日本一に何度も輝いている名門中の名門です。大学側は同日に会見を開き、大村和輝監督らが事態について説明。謝罪しました」(全国紙運動部記者) ◆「関西では有名だった」 発生から2ヵ月が経過しての発表となったが、関西の大学アメフト界隈では、すでにこの疑惑は出回っていたという。ある大学のアメフト関係者が明かす。 「世界選手権から帰国後、1ヵ月もしないうちに『代表選手が、カナダは合法だからと大麻を吸ったらしいよ』という噂は流れていましたよ。どんな対応や処分にするのかを決めるのに時間がかかっていると聞きましたが、他の関係者とも『流石にガセじゃない?』と言っていたのですが……」 ここ最近、大学アメフト界隈では薬物使用疑惑が頻発している。 昨年夏には日本大学アメフト部の学生が寮で違法薬物を使用していたことが判明。最終的には卒業生を含め11人が逮捕・書類送検される事態へと発展した。これを重く見た日大は、アメフト部の廃部を決定している。また今年2月には法政大学アメフト部の部員3名について薬物使用が報じられた。 薬物汚染から脱却するため、協会は違法薬物のクリニックや指導を繰り返し開催してきた。その矢先に日本を代表する選手たちからこのような問題が発覚したのだから、そのショックは大きいだろう。 今回は代表期間中の規約違反であったため、処分を発表したのはアメフト協会だった。公式ホームページにある『U20日本代表5選手の処分について』というリリースには、 〈選手1人については、大麻含有製品の蓋然性がある物質を所持・使用したことを理由に、日本代表に選抜される資格を無期限停止とし、所属大学に当該選手の無期限活動停止を勧告しました〉 と明記されている。 しかし、関学大側は会見において「帰国後に全選手へ尿検査をしたが陰性だった」と協会の発表を真っ向から否定したのだ。その後も部の活動は継続中であり、騒動後初となるリーグ戦も、今日9月3日に予定通り実施される予定だ。 実態を公表するまでの2ヵ月間、協会と大学は調査を進め、処分についてもやり取りが行われてきたはずである。にもかかわらず、なぜ最終的に正反対のスタンスとなっているのか。そこには、関学大と協会の間に横たわる“大きな溝”が関係しているという。ある大学アメフトOBが囁く。 「関西学院大学は、『強豪』という言葉では足りないほどズバ抜けたチームです。大学日本一を決める甲子園ボウルは6連覇中。また、関西には他にも強豪校がひしめいている。ここ15年間の甲子園ボウル優勝校を見ても、’17年に日大が優勝しただけで、他は全て関西の大学が勝っている。関西リーグの優勝決定戦が実質の甲子園ボウルみたいなもんですよ。 そんな『西高東低』な構造を受けて、’09年からたびたび出場地域枠に関する調整が行われてきた。今年からは関西リーグの出場枠がさらに広がり、3位までが参加可能になりました。それに合わせ関東リーグの出場枠も3位までに広がりましたが……決勝の甲子園ボウルは関西同士の戦いになるんじゃないですか? この出場枠変更には関学大が関わっているんじゃないかってもっぱらの噂ですよ。それくらい、関学大というのは権力を持っているんです。協会としては目の上のたんこぶ的な存在ですから、両者の間の話し合いが難航した結果、真反対のスタンスとなったのではないでしょうか」 今回のU-20代表メンバーには、廃部となり、行き場を失った元日本大学アメフト部の選手たちも選ばれている。その目の前で薬物に手をだしたのだとしたら、とてつもない裏切り行為と言える。また、関学大の大村監督も世界選手権にコーチとして帯同していた点を鑑みると、「代表期間中のことで、大学としては関係ない」で済まされないだろう。 試合はルールがあるから相手と本気で戦えるもので、そのルールを破れば反則となり罰せられる。これは社会でも同様である。
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