【解説】安倍派「6億7000万円超」を不記載 裏金の「責任」取るのは誰?
日テレNEWS NNN
派閥の政治資金をめぐる事件を受け、安倍派は31日に収支報告書の訂正を届け出ました。NNNは独自に取材し、裏金を受け取っていた自民党議員とその金額をリスト化しました。日本テレビ政治部・与党担当キャップの前野全範が解説します。
■“裏金”を受け取っていた自民党議員とその金額
藤井貴彦キャスター 「派閥の政治資金をめぐる事件について、ここまでの状況を整理します」 河出奈都美キャスター 「解散を決めている二階派、岸田派、安倍派のうち、これまで収支報告書の訂正をしていたのは二階派と岸田派です。二階派は今月18日に、記載漏れしていた政治資金パーティーの収入など、3年間で2億1000万円余りが不記載になっていたと訂正。また、岸田派も同じ日に、2501万円について訂正しました。安倍派は、刑事処分が出た19日から10日以上経った31日に、ようやく収支報告書の訂正を届け出ました」 「過去5年間の不記載総額が6億7654万円にのぼり、元議員も含めて95人がキックバックなどのいわゆる“裏金”を受け取っていました。このうち三ッ林裕巳衆議院議員は、3年間で少なくとも1800万円のいわゆる“裏金”を受け取っていたことが新たに明らかになりました」 「まだ安倍派が届け出た金額は反映されてないのですが、日本テレビは、“裏金”を受け取っていたことがわかった自民党議員とその金額を独自に取材しました。金額の大きい順にみていくと、1位は大野泰正氏で5154万円。そして、池田佳隆氏が4826万円と、安倍派が続きます。さらに4位に二階派の会長・二階俊博元幹事長。5位に安倍派の『5人衆』の1人、萩生田光一前政調会長が続きます。大野氏は在宅起訴され、池田氏は逮捕・起訴。谷川氏は略式起訴され議員辞職しました。また、二階俊博元幹事長は秘書が略式起訴されています」
■安倍派の収支報告書の訂正 なぜ10日以上かかったのか?
藤井キャスター 「日本テレビ政治部・自民党担当の前野キャップと話を進めていきます。特捜部の捜査が終わったのが今月19日でしたが、安倍派の訂正まで10日以上かかっています。これはなぜなんでしょうか?」 前野全範 政治部与党担当キャップ 「野党に追及材料を与えるとの懸念があったのが一つあります。また、収支報告書を訂正すると安倍派の各議員の不記載について新たな刑事告発が出てくるため、一部の議員が強く抵抗していました。安倍派の関係者に取材すると、複数の安倍派議員が『キックバックを受けたカネには手を付けてないから訂正したくない。カネは派閥に返すからそれで終わりにしたい』などと主張したということです。ただ、いったん派閥側から『裏金』を受け取った時点で自分の収支報告書に記載する義務がありますし、『カネには手を付けてない』との主張については、自民党内からも『裏金の使い道を明かしたくないから言い訳をしているだけだ』との厳しい指摘も出ています」