【独占】堀口恭司が語る朝倉海とのRIZIN史上最大の大晦日リベンジ戦「あの兄弟。調子に乗っているので…」
「一回負けているんで何も言えないけど“次は見てろよ、この野郎”って感じですかね(笑)。互いに打撃系の選手なんで打ち合いになるのかもしれないが、打撃や寝技に固執するのではなくトータルで戦うことになると思います」 昨年8月の名古屋。右カウンター一発で倒された。その一撃で記憶が飛び、試合のことは何も覚えていない。だが、朝倉海には入り際の癖を見抜かれていた。 「誰だって癖はありますから」 コンビを組むATTのトレーナー、マイク・ブラウン氏は、逆に朝倉海の弱点を発見したという。 「欠点を見つけてくれました。こっちがこう動けば、相手がどう動くか、という中でね」 ブラウン氏も来日予定。最終調整を見てもらい当日のセコンドにもついてくれる。それが何より心強い。 この1年で堀口が返上したRIZINバンタム級のベルトは2度動いた。朝倉海は堀口と再戦するはずだった大晦日にマネル・ケイプ(アンゴラ)との王座決定戦に挑み2回にTKO負けし、そのケイプがUFCに電撃移籍したことで、再び返上されたベルトを扇久保博正と争い、朝倉海が腰に巻いた。この9月には昇侍を相手に初防衛に成功している。 「ここ2試合は、蹴りを使えるようになったり、うまく(打撃を)散らせるようになっていますが、スタイルは変わっていない。そんなに変化はないっすね」 それがリベンジ戦に向け朝倉海を裸にした答えだ。 1年4か月ぶりの復帰戦である。 ずっと痛みに苦しんでいた右膝にメスを入れたのが昨年の11月。その3か月後に帰国していた堀口に会ったが、器具で膝を固定して松葉杖。とても痛々しかった。慎重にリハビリメニューを終えると米国へ戻り打撃、寝技、組みと順を追って練習を再開した。実戦的な練習ができ始めたのは8月頃。当初、戸惑いがあったという。 「まるで足がない、感覚がない感じになった。いつもならこう動いているのになあというところで全然動いていないんです」 自分の足であって自分の足ではない。 格闘家にとって、それは絶望的な現象である。 それでも引退という2文字が頭に浮かんだことはなかった。 「ないです。アホなんでしょうね(笑)。また怪我するならしたらいいじゃん。たとえ足がもげても大丈夫だろうと」 いつも堀口は自らを「アホ」「バカ」と卑下して見せる。それは鈍感力というべき一種の才能なのかもしれないが、今の自分と正しく向き合い、それを受け入れ、今のベストを探る。 「足が動かないなら前のスタイルに戻さなければいい。たとえばガードを上げて詰めるとか、動かないスタイルで戦えばいい。そう考えたんです」 だから堀口は空白の1年に「進化した」と言うのだ。 「体の使い方をより考えるようになった。無理な体勢から余計な力を使わずもっと簡単に力を出せる方法」 堀口は試合のできなかった時間を「有意義な時間だった」とも言った。