バターが高いので、価格が安い「マーガリン」にしようか迷っています。健康面でのリスクはありますか?
バターとマーガリンは見た目や用途が似ており、意識して使い分けている人は少ないかもしれません。実はこの2つは、成分や製造方法、栄養価などさまざまな面で違いがあります。 一般的にマーガリンはバターより安価であり、バターの代わりとしても広く使われています。しかしマーガリンには「トランス脂肪酸」が含まれているとして、健康面へのリスクが話題になったこともあります。 そこで今回は、バターとマーガリンの価格や製造方法、栄養面の違いと、健康面への影響について調べてみました。 ▼職場のランチ代節約したい!「おにぎり」だけは栄養的にNG? 節約効果も検証
バターとマーガリンの違い
一般社団法人日本乳業協会によれば、バターはおもに牛乳から取った乳脂肪分が主原料です。一方、マーガリンは植物性の油脂を主原料とした人工的な食用油脂です。また、原料以外にも違いがあります。 ■バターとは バターはおもに牛乳から作られる乳製品で、生乳や牛乳から乳脂肪分を分離し、その乳脂肪分を撹拌(かくはん)して作ります。この過程で脂肪球が凝集され、脂肪分が凝固してバターになります。 バターの栄養成分は全体の約80%が乳脂肪です。そのほか、ビタミンA、D、Eが含まれており、これらは体内の機能をサポートする脂溶性のビタミンです。 例えば、ビタミンAは視力や粘膜の機能に関係し、ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、骨の健康を保つ働きがあります。さらに、バターは豊かで濃厚な風味が特徴で、料理やお菓子作りにおいて重要な役割を果たします。 ■マーガリンとは マーガリンは、植物油や動物性油脂を主原料とする加工食品です。液体油に水素を添加して固形化し、乳化剤や食塩、ビタミンなどを加えて製造されます。 マーガリンの栄養成分は製品によって異なりますが、一般的には脂肪が約80%を占め、おおむねバターと変わりありません。マーガリンには、ビタミンAやDが添加されていることが多いです。
価格差の理由
一般的に、バターはマーガリンよりも高価です。農林水産省の「食品価格動向調査(加工食品)」(令和6年7月)のデータによれば、100グラムあたりの価格はバターが267円、マーガリンが95.5円で、バターの価格はマーガリンのおよそ2.8倍になっています。 これは、バターが牛乳から作られる乳製品であり、牛乳の生産には牧場や飼料などが必要であることが理由です。一方、マーガリンは大量生産が可能で比較的安価な植物油が原料で、原料の価格の違いが価格に表れているといえるでしょう。 さらに近年、乳牛の飼育には多大な労力とコストがかかることから酪農家の数が減少傾向にあり、牛乳の生産量もそれに伴い減少しています。その結果、バターの需要が供給を上回ったことも理由のひとつです。