【投資初心者向け基礎講座】「株を買うなら、反対の値動きをする銘柄も買う」「住宅購入資金はREITで作る」〈経済評論家が解説〉
このところ、日本の株式市場が活況です。新NISAもスタートするなど、本格的に投資をはじめる人も増えています。ここでは、投資初心者向けに、基本的な投資のテクニックをご紹介します。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。 年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
上場株への投資は「期待値がプラス」になるワケ
上場株の価格、とくに大型株の場合には、プロ同士の取引で決まると考えてよいでしょう。したがって、多くの場合は「おおむね妥当な価格が成立している」と考えられます。 では、株価の変動を「企業収益の変動」と「その他の要因」に分けて考えてみましょう。 上場企業の決算を長期にわたって眺めると、平均はプラスになっているので、企業収益の期待値(確率的には、といった意味です)はプラスだといってよいでしょう。 じつは、それには理由があります。企業経営者が臆病(慎重?)だからです。 企業経営者は「10儲かるか10損するか、確率が五分五分」であるような投資案件には手を出しません。多くの経営者が「14儲かるか10損するか、確率が五分五分」という投資案件なら前向きに考える、という状況なら、ちょっと大胆な経営者は容易に「12儲かるか10損するか、確率が五分五分」の投資案件にありつくことができるのです。企業が黒字なら、株式投資家は配当が得られるか、株価の値上がり益を得られる可能性が高いでしょう。 仮に企業収益がゼロだとしても、株式投資の期待値はプラスになるはずです。株式投資のプロも、企業経営者と同様に臆病なので、筆者がチョット大胆であれば、「12儲かるか10損するか、確率が五分五分」の投資案件にありつくことができるからです。
「反対のリスク」を併せて持つと、リスクが消える
確率的には儲かるとしても、たまたま運悪く、買った株が値下がりする可能性は十分にあります。そこで、損をしたくなければ「多くの銘柄の株に少しずつ投資する」という手法が選択肢となります。確率的に儲かるものを多数持っていれば、大きく儲かる株と小さく損する株があって、合計では儲かる確率が高いでしょう。一気に買うのではなく、毎月少しずつ買えば、高いときも安いときも買うことになるので、「高いときに一気に買って大損した」というリスクも避けられます。 重要なのは「株価がバラバラの動きをする銘柄を持つ」ことです。輸出企業の株だけだと、100社分持っていたとしても、円高になってすべてが値下がりする、というリスクがあるからです。 バラバラな動きをするよりさらによいのが、反対の動きをする銘柄を両方持つことです。輸出企業の株と輸入企業の株を両方持てば、ドル高のときには輸入企業の株が値下がりするけれども、輸出企業の株が値上がりするので大丈夫ですし、ドル安のときも同様に大丈夫なので、リスクを大きく引き下げることができるのです。 輸出企業の株は、投資家たちが「ドル安になると損をするから、買いづらい」と考えて割安に放置されやすく、輸入企業の株も、投資家たちが「ドル高になると損をするから、買いづらい」と考えて割安に放置されやすいとすれば、割安の株を2つ買うことができ、しかも自分にはリスクがあまりない、という望ましい状況が実現できるわけです。