メジャーで「クレイジー!」と言われた昔気質のトレーニング方法、「大魔神」佐々木主浩さん プロ野球のレジェンド「名球会」連続インタビュー(21)
昔は先発完投が当たり前で、100球で交代はあり得ません。(先発の)調子や切れが落ちたときに僕らが登板しました。かつては延長が十五回まであって体力的にきつかったです。八回から投げて延長十何回とかがありましたから。今の方が先発、中継ぎ、抑えがはっきりと確立されて良かったのではないですか。ホールドという(最優秀中継ぎの)タイトルができて、中継ぎの選手の給料も上がりましたしね。 僕には真っすぐとフォークボールの2種類しかありませんでした。たまたま大学3年の練習で投げたフォークがよく落ち、試合で投げて三振が取れました。千賀滉大のフォークはあまり回転がついていません。杉下茂さん(元中日)も回転をつけず、ナックルみたいに揺れます。打ちづらいですが、打者は目がいいから、来た瞬間にフォークと分かると振らなくなります。僕は見破られないように、縫い目に指をかけて回転をつけていました。ワンバウンドでも振ってくるのは、回転がついて真っすぐと勘違いするからではないでしょうか。
フォークと分かって見逃せるのだったら、回転をつけたらどうだろうと、アメリカでも同じようにやりました。指のかけようでシュート回転やスライダー回転で打者の外角へ落ちるように。僕自身もどれだけ落ちるかは計算できません。フォークはいいかげんな球、適当な球。割り切って投げないと。落とし方もストライクからストライク、ストライクからボールとか何種類かないと。フォークだと思って見逃されるから、わざと回転数を少なくするとか、いろいろ考えました。三振を取るのって球数を使います。いかに球数を少なくして抑えるかです。 ▽みんなにクレージーだと言われた鍛錬法 僕はそんなに気が強い方ではありません。強いと思われていますけど、弱い部分を持っています。精神的なところで、自分の弱い部分を知っていればいいのでは? 考え方が注意深くもなります。「打たれたらどうしよう」はマウンドに行くまでです。マウンドに上がってしまえば、そういう気持ちはありません。ブルペンで準備している時が一番動揺するところ。それを知っていればいいのです。あとは同じ失敗をしないこと。失敗を繰り返さないために、どうすればいいかを考え、打たれた時のビデオをよく見ました。そればっかりでも鬱積してくるので、抑えた時のビデオも見てイメージしました。