1990年代に登場したマニアックなセダン3選
今、この3台のセダンに遭遇したら、奇跡かも!? 【写真を見る】1990年代に登場したマニアックなセダンたち(18枚)当時の貴重なカットも!
個性的過ぎたのが災い
SUV大流行の昨今、セダンは希少になってきている。でも1990年代は、老いも若きもセダン一色(ややおおげさだが)。メーカーも、デザイン、性能、それに新技術と工夫を凝らしたもの。 一方、セダンの数が多くなると、とうぜん、商品によって売れ行きに差が出てくる。プレミアム、ミドル、コンパクト……と、それぞれの市場にセダンがあり、トヨタなら「クラウン」や「マークⅡ」、日産なら「ブルーバード」や「スカイライン」、と、いったようにメーカーごとの個性も光った。 もっとも、セールス的にいまひとつふるわず、結果として希少性が上がったセダンもある。新鮮な気持ちで3選を読んでほしい。
1.オートザム「クレフ」
1990年代に登場した”希少”な日本車といえば、マツダがオートザムチャネルで販売したクレフ(92年)がすぐ思いつく。 流麗なスタイリングだったトヨタの3代目「ソアラ」(91年)と、どこか通じるフロントマスクは、いわゆるグリルレスデザインで、凝った三次曲面を使ったパネルで構成されたボディがかもし出す雰囲気も、独自の個性だった。 ボディ全長は4670mmでホイールベースは2610mmあり、アッパーミドルサイズのセダンとしてパッケージも十分。エンジンは2496ccのV型6気筒も用意され、駆動方式は前輪駆動か4輪駆動が選べた。 先述の通り販売チャネルがオートザムだったことからわかるように、開発資金が潤沢にあった時代の車両だ。ボディ全幅はいわゆる”3ナンバーサイズ”に拡大し、トヨタのマークⅡや日産「ローレル」などの対抗馬として企画された。 もう少し厳密にいうと、トヨタや日産などに市場で競合するべく開発されたのは、マツダ「カペラ」の後継にあたる「クロノス」(91年)。海外市場では好調を博した、と、マツダ自身が書いているが、裏を返せば日本では苦戦した。 理由は、販売チャネルを5つにまで拡大したことで、カペラの後継として時代の要請に合わせて車体もパワートレインも大型化したという宣伝活動が集中的に行えず、市場での存在感が希薄になったことがあげられる。 その最大の象徴が、オートザム・クレフだったともいえる。そもそも、このアッパーミドルクラスのセダンがオートザム店に合っていたのかも疑問。「キャロル」「レビュー」「AZ-1」といったユニークなコンパクトモデルと、さらに(驚くべきことに)ランチアとアウトビアンキの販売まで手がけていたのがオートザムだ。セールス担当も苦労したのでは。 はたしてクレフの販売状況はかなり思わしくなく、いま市場で見掛けたら即買い、かどうかは自信がもてないけれど、94年までに総生産台数が5200台程度というからレア度はかなりなものだ。