【MotoGP】マルク・マルケスの”すごさ”が、ドゥカティの進化具合を浮き彫りに? 昨年以上に”最新型”が猛威
ドゥカティの最新型バイクを使用するライダーがどれだけ優位なのかという議論は、来季ドゥカティがフランチェスコ・バニャイヤのチームメイトを誰にするか決めなければならなかった数ヵ月前よりは幾分少なくなったとはいえ、まだ続いている。 【ギャラリー】MotoGPが東京・浅草に襲来! 日本GPプレイベント「MotoGP in Tokyo」 エネア・バスティアニーニが今季の序盤は不調だったため、プラマックのホルヘ・マルティンとグレシーニのマルク・マルケスがドゥカティのファクトリーチームにおける後任ライダーの主な候補となり、最終的に争いを制したのは後者だった。 ドゥカティによると、当時まだドゥカティで勝利していなかったマルケスを選んだ最も重要な理由の1つは、2023年型バイクで発揮したパフォーマンスだった。理論上、今年のバイクよりも昨年型は性能が劣るとされており、マルティンは最新型、マルケスは型落ちとなる2023年型のバイクを使っていたのだ。 「ドゥカティのエンジニアたちは、2023年型バイクでの僕の進歩を見ていた」 ファクトリー昇格が決まった直後、マルケスはそう語っていた。 「ドゥカティのゼネラルマネージャーであるジジ(ダッリーニャ)によると、(マルティンとマルケスのどちらを選ぶか)バランスを崩した要素は、僕がサーキットで見せたモノ、つまり進歩や改善能力だった」 ダッリーニャ自身は、今季のドゥカティ・デスモセディチGP24が前モデルよりも優れたマシンであることを認めているが、それを疑問視したり、相対化したりする人たちもいる。 「GP23が少し弱かった部分をGP24は確実に改善した」とダッリーニャは8月のイギリスGPで語った。 「ファクトリーのみんなは本当にいい仕事をしてくれた」 ドゥカティの2台のバイクがこれまでに残した軌跡を詳細に調べ、昨年の選手権と比較することは、ダッリーニャのコメントを裏付けるだけでなく、実質的に論争に決着をつけることになる。 今季グレシーニとVR46の計4人のライダーが前年型のGP23で戦っているが、そのうちマルケスただひとりが最新型のGP24に対抗できている。 2023年に使われていた”型落ち”のGP22と、2024年のGP23を比較すると、2024年におけるバイクの改善は、2022年から2023年にかけてよりも遥かに大きいことが分かる。 昨年、型落ちのGP22で選手権を戦った4人のライダーは、合計で4勝(ベッツェッキ3回、ファビオ・ディ・ジャンアントニオ1回)、13回の表彰台、3回のポールポジション(ルカ・マリーニ2回、アレックス・マルケス1回)、15回のフロントロウスタートを獲得した。 この年ドゥカティが挙げた17勝のうち23.6%を占め、表彰台でいえば30.2%と割合が増える(ドゥカティの全表彰台43回のうち13回)。さらに、4人のライダー全員が日曜日に表彰台に上り、全員が少なくとも1回はフロントロウからスタートしたことも注目に値する。 一方で今季、前年型(GP23)に乗っているライダーの成績は相対的に下がっている。そしてその中で、マルク・マルケスだけがファクトリー勢に近い成績を残している。昨年仕様のバイクでの優勝は2回(アラゴンとミサノ)だけで、どちらもマルケスの手によるものだが、これはドゥカティの総勝利数(15勝)の13.3%にあたる。 表彰台の数に関しては、ドゥカティがこれまでに獲得した48回のうち、GP23のものはわずか10回(20.8%)で、そのうち8回はマルケスによるものだ。 今季は昨年以上にドゥカティが強さを発揮しているように思えるが、実際にはドゥカティがGP24で大きく進歩し、マルケスが食らいついているというのが実情のようだ。
Oriol Puigdemont