人気ミステリー作家・京極夏彦さんや竹本健治さんらが明かした創作の原点…佐賀市でトークショーとサイン会
人気ミステリー作家の京極夏彦さん(61)や竹本健治さん(70)らによるトークショーとサイン会が9日、佐賀市の浪漫座で行われた。全国から訪れた約150人のファンが、小説にまつわる熱いトークに耳を傾けた。(小林夏奈美) 【写真】コロナ禍で失職・不倫相手と別れた「わたし」が小説に怒りや孤独…東山彰良さん自身を投影
催しは、作家同士の自由な雑談の雰囲気をファンにも体感してもらおうと、本格ミステリ大賞を受賞した「涙香迷宮」などで知られる同市在住の竹本さんと妻の信子さん(70)の呼びかけで、2017年に始まった。
5回目となる今年は、京極さんと竹本さんのほか、新井素子さん(64)、稲羽白菟さん(49)の4人が登壇した。冒頭、稲羽さんは、体調不良で登壇できなかった綾辻行人さん(63)にふれ、「綾辻さんに見えるよう、帽子をかぶってきました」と話し、会場の笑いを誘った。
トークではまず、それぞれの創作の原点などが明かされた。両親が編集者だったというSF作家の新井さんは、3歳の頃から寝る前に物語を作るのが習慣で、小学生の頃にはひらがなで小説を書いていたことを紹介。また、竹本さんは小学生の頃から、自分でコマ割りして漫画を描いていたことや、執筆活動では「映像を頭に浮かべてから書いている」などと話した。これに対し、京極さんは「映像は全く浮かばない。顔なんて全然わからない」などと述べ、創作過程の違いも語られた。
さらに話題は、鍋島藩の有名な怪談話「化け猫騒動」に及び、京極さんが「佐賀は『化け猫』のスタイルを完成させた。強く主張していいと思う」と話すと、会場からは大きな拍手が起こった。
トークショーの後にはサイン会も開かれ、ファンたちは列を作り、それぞれの作家の小説本にサインをしてもらっていた。京極さんのファンで、仙台市から訪れたという高校生(15)は「先生の考えが垣間見えて楽しかった。先生同士の普通のおしゃべりを共有してもらえてうれしい」と満足そうな表情を浮かべていた。