【図解】過去の自民党総裁選を振り返る――決選投票での逆転、女性初の出馬、野党としての選挙も
決選投票までもつれた2012年総裁選
谷垣氏は3年間の総裁任期を務め上げ、2012年の総裁選での再選を目指していた。しかし、所属する派閥・宏池会の領袖である古賀誠氏は、谷垣氏の党運営への不満から支援を拒否。同じ派内の林芳正参院議員(当時は政調会長代理)の擁立に動いた。さらに、幹事長に重用した石原伸晃氏が突然出馬を表明したため、谷垣氏は「党の執行部から2人の候補が出るのは好ましくない」と立候補を断念した。 総裁選には石原氏のほか、安倍氏、石破氏、町村氏、林氏の5人が出馬した。参院議員(林氏)の立候補は総裁選史上、初めてのことだった。安倍氏は2007年の首相辞任から時間が経っていないこともあり、当初は消極的だったが、菅義偉氏(現・首相)らの説得で最終的に手を挙げた。石原氏は党内に強い影響力を持つ森喜朗元首相や青木幹雄元参院議員会長ら重鎮の支持を得たものの、幹事長が総裁に弓を引いたことで、「平成の明智光秀」との批判も受けた。地方での人気が低いことも不安視された。 選挙は、党所属の衆院議員116票(1人1票)、参院議員82票(1人1票)、都道府県300票の合計498票を争った。1回目の投票は石破氏が議員票34、党員票165の計199で1位だった。安倍氏は議員票54、党員票87の計141で2位。石原氏は国会議員票が58でトップだったものの、党員票が伸びずに3位に終わった。 1回目の投票で過半数を獲得した候補がいなかったため、上位の石破氏と安倍氏が、議員票だけで争う決選投票を行った。その結果、安倍氏が石破氏を逆転し、勝利した。総裁選が決選投票にもつれ込んだのは、田中角栄氏と福田赳夫氏が争った1972年以来のこと。また、決選投票での逆転勝利は、石橋湛山氏が岸信介氏を破った1956年以来56年ぶりだった。安倍氏は2006~07年以来の再登板。安倍自民党は2012年12月の衆院選で勝利し、政権復帰を果たす。
立候補できなかった野田聖子氏
安倍氏の任期満了に伴う2015年の総裁選は、安倍氏のほか、野田聖子氏も出馬に意欲をみせた。安倍陣営からの切り崩しを受ける中、推薦人を18人まで集めるも、あと2人足りずに出馬を断念。安倍氏の無投票再選となった。記者会見で野田氏は「私の取り組みが、十分に理解いただけるだけの説得力がなかった」「今後はより一層開かれた自民党でありたい。その担い手となるため精進を重ねていく」と語った。 2018年も安倍氏の任期満了に伴う総裁選となり、安倍氏と石破氏の一騎打ちとなった。石破氏の課題は国会議員からの支持の拡大だったが、この時も議員票が伸びず73票にとどまった。一方、安倍氏は議員票329を獲得し、さらに党員票でも上回り、連続3選を果たした(通算4期目の当選)。