惣菜パン、人流回復や節約志向で好調 23年市場は販売金額・数量ともに上昇
惣菜パン市場が活況を呈している。多様化する節約ニーズへ対応できたことで市場が拡大。店頭販売データ(KSP-POS)によると23年1~12月の販売金額は前年比4.3%増、販売数量は1.2%増となった。平均価格も前年の121円が125円となり3%上昇。24年に入ると成長は加速し、1~4月の販売金額は6.9%増。販売数量は同2.7%増で推移している。定番ブランドの惣菜パン化が評価を高めるなど、今後も成長基調で推移する見込みだ。
定番シリーズの波及効果も追い風に
惣菜パンは、コロナ禍においては在宅勤務増加に伴う内食需要の拡大や食シーンの変化で、簡便性・利便性、1食完結などの価値が相対的に低くなった。コロナ5類移行後の人流回復で再度、惣菜パンの簡便性・利便性が評価されるようになった。さらに、近年「タイパ(タイムパフォーマンス)」など効率的に時間を使う消費行動が広がっており、こうした風潮にも惣菜パンはフィットした。 一方、食品をはじめ、電気料金の値上げなどで生活者の節約志向はさらに高まっている。ある製パンメーカーの担当者は節約志向の多様化を指摘。これまでユニットプライスで「高い・安い」を判断していた層の一部が、1製品当たりの価格の「安さ」を購買基準にする動きが目立つようになったという。こうした傾向は惣菜パンでも見られ、200円を超えるサンドイッチよりは150円程度の包装惣菜パンの需要が増加している。また、商品名に「大きな」「たっぷり」「ずっしり」などの表現がついた商品に人気が集まっている。 さらに、重要なポイントが山崎製パンの「コッペパン」シリーズや「薄皮」シリーズのような安心感のある定番品を惣菜パン化したことに隠されている。購買行動に失敗したくない生活者の心理をロングセラーブランドで担保しながら、伸長する惣菜パン分野をフォローする「コッペパン」グルメシリーズや「薄皮グルメ」シリーズは好調に推移している。特に、品質改善でタマゴフィリングを包あんし、1月1日に発売した「薄皮たまごぱん(4個入)」はヒット商品に成長した。
日本食糧新聞社