井上尚弥を抑えて受賞…2023年の世界戦で「17階級で最高」と評された日本人・重岡銀次朗の“衝撃の試合”
2023年世界戦で「ベスト」と評された日本人王者
2024年5月6日から5日間のスケジュールで、4大ボクシング団体の一つであるIBFが36回目となる総会を開いた。会場はプエルトリコの首都サンファン。ミニマム級チャンピオンの重岡銀次朗は、同団体本部から招待状を受け取り、現地に飛んだ。 【写真】伝説・井上尚弥の10年前の姿 最重量のヘビー級から、ミニマムまで17階級のチャンピオンが、過去1年間に戦った世界タイトルマッチのなかで、ベストと評されるのが「Fight of The Year」である。 2023年4月16日の銀次朗のファイトが、IBFのそれに選ばれたのだ。 目下、銀次朗の戦績は11戦全勝9KOだが、実際はもう1試合多く戦っている。2023年1月の世界タイトル初挑戦が、無効となっているのだ。銀次朗に勝てないと踏んだチャンピオンのダニエル・バラダレスが、3ラウンドに自ら頭突きを見舞い、ダメージが深くて戦えないとアピール。 何故かレフェリーも王者の言い分を呑み、試合終了となる。当初は引き分けとアナウンスされたが、後に結果が覆り、ノーコンテストとなった。バラダレスは、傷の回復までに時間が掛ると主張し、休養に入る。 失意の銀次朗だったが、3カ月後に同タイトル暫定王座決定戦が用意される。初回、対戦相手のレネ・マーク・クアトロの右ストレートを喰らってダウンした銀次朗は試合を立て直し、ボディへの攻撃で7回、9回と計3度、フィリピン人選手をキャンバスに沈めてベルトを獲得する。今回の受賞は、このクアトロ戦に与えられた。 銀次朗は因縁の相手、バラダレスが保持する正規王座と、自身の持つ暫定タイトルを懸け、2023年10月に再戦した。度重なるメキシコ人王者のバッティングに注意を払いながら攻め続け、5ラウンドに仕留めて胸の痞えを下ろす。2024年3月末の防衛戦も、2ラウンドで挑戦者を一蹴した。 それにしても、同じ日本人の世界チャンプ、井上尚弥を含む並み居る強豪たちを抑えて、最軽量級の彼が年間最優秀賞に選ばれるなど、誰が予想したであろうか。