井上尚弥を抑えて受賞…2023年の世界戦で「17階級で最高」と評された日本人・重岡銀次朗の“衝撃の試合”
日本の世界チャンピオンとは別の道を進む
プエルトリコから帰国した銀次朗は語った。 「世界戦を4回こなしましたが、確かにクアトロとの試合が一番会場を盛り上げた記憶があります。ダウンというピンチもありましたが、そこから巻き返してのKOでしたから、得るものも大きかったですね。自分はただ必死に戦いましたが、何人もの方から『すごく面白かった』と言って頂けました。 誉めてもらえるのは、嬉しいことです。でも、自分にはまだ早い賞だとも感じました。世界には、もっとハイレベルで、ファンを喜ばせているチャンピオンがいるわけですから。そんななかで選ばれたので、『よし。また、Fight of The Yearを獲ってやるぞ! 』という気持ちになっているのも事実です」 IBF本部はアメリカ合衆国ニュージャージー州スプリングフィールドに置かれているが、年に1度の総会は、世界中の様々な場所で催される。2024年は、アメリカ領土ではあるが、自由連合州という耳慣れないプエルトリコが会場となった。 スペイン、アメリカの植民地として、他民族に虐げられた歴史を持つプエルトリコは、ボクシングが盛んだ。そのなかでも、トップクラスの人気を誇る、フェリックス・トリニダードも宴にやってきた。 IBFウエルター級タイトル15度の防衛を誇り、WBC同級、WBA/IBFスーパーウエルター級、WBAミドル級のベルトを巻いたトリニダードは、プエルトリコの秘宝であり、90年代の終わりから2000年代頭までボクシング界の主役であった。 「トリニダードは物凄い人気でした。これが世界のトップかと。自分は、この賞で終わりにしてはいけない。最終到達点じゃない。プエルトリコでは多少、顔を売ることができたかもしれませんが、僕の存在を知らない人も沢山いましたから、もっともっと強くなって知名度を上げなければと感じました。 今、日本には世界チャンピオンが9人ほどいますが、他の人とは別の道を進んで行きたいです。僕は海外で試合を重ね、世界の舞台で活躍したいですね。元々、そういう希望がありましたが、今回の総会で、新たにその気持ちが強くなりました」