まとまらない米国の景気対策 米経済は大丈夫なのか?
リーマン時より高い業績見通し
そして特筆すべきは、6か月先の見通しを問う項目です。両調査とも、業況見通しや雇用計画が2019年平均を上回り、2008~09年のリーマンショック局面よりはるかに高い水準にあります。最近の包括的景気対策をめぐる協議の混迷をよそに、米企業は楽観的な将来見通しを維持している模様です。 楽観的なのは消費者も同様です。16日に発表された10月のミシガン大額消費者信頼感指数は81.2へと9月から0.8ポイント改善しました。また9月の米小売売上高は前月比+1.9%と市場予想(+0.7%)を上回り、5か月連続で増加しました。自動車販売店、百貨店、スポーツ用品店の伸びが目立ったほか、外食の回復も継続。コロナ禍で大きく成長した非店舗型のオンラインショップも相変わらずの強さでした。自動車などを除いたコア小売売上高(GDP個人消費の推計に用いられる)は+1.4%と底堅く、前年比では+9.1%へと伸びを高めました。これは2000年代入り後で最も高い伸び率であり、財消費を中心に消費活動が「V字」回復にあることを示しています。 以上をまとめると、(1)過去数か月の米経済は当初の想定を上回るペースで回復してきた(2)直近の指標をみる限り現在も急減速している様子はない(3)そうした余裕もあり米政府の景気対策がまとまらない――といったところです。むろん、景気対策の遅れはマイナスの影響を与えますが、現在のところ米経済は持ちこたえているようです。
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