シカの骨でアクセサリー制作 “狩猟の活動を未来につなぎたい” 二ホンジカによる農業被害深刻に 岩手県
岩手めんこいテレビ
岩手県内でもシカによる農業被害が急増しているなか、自ら猟師としてシカを捕りその骨や角を使ってアクセサリーを制作している女性が盛岡市にいる。 その胸には狩猟の活動を未来につなぎたいとの思いがあった。 「猟友会の師匠からは二ホンジカの数が増えていて、何十頭と捕れるようになっていると聞いている」と語る猟師の深山けものさん(40)。 冬の盛岡市。 深山さんが森の中で枯葉を踏みしめながら何かを探していた。枯葉の中にシカのフンを見つけて「きのうなかった気がするので、ゆうべかな」と話す。 猟師 深山けものさん 「段差になっていてシカが降りようとすると、ここが1番降りやすいので、ここに(わなを)かけてます」 シカの痕跡を探し地形などに合わせて設置場所を決めるという。 深山さんは「雪が降るか降らないかの季節なので、雪の上に足跡が付いていたりしてシカの道が読みやすくなっていたり、日々の移ろいの中でやり方を変えてやれるのが楽しい」と冬の時期の狩猟の楽しさを話す。 県内ではニホンジカによる農業被害が長年続いていて、その被害額は2023年度まで5年連続で2億円を超えている(県調べ)。 深山さんは猟師として増えすぎているシカの捕獲に取り組んでいる。 猟師 深山けものさん 「いまシカの数が増えていて数を管理しなければならない状況で、そこに少しでも貢献できるよう捕れる数を増やしていければ」 「農家さんからお礼を言われたり『がんばれよ』と一般の方が叫んでくれることもあって、人とのつながりを得て続けていられると思う」 深山さんにはもう一つの顔がある。それはシカの角や骨を使ったアクセサリー作家だ。 「シカの解体をしてお肉を食べると骨は残り捨てるしかなかった」と話す深山さんは、シカの角や骨を使った指輪やピアスなど約50種を制作している。 深山さんが作るアクセサリーは「人に優しいものを」と、金属は(医療向けの)サージカルステンレスやニッケルフリーなどアレルギーの起きにくいものを使っているという。 また、アクセサリーの売り上げは漁師たちの活動資金にもなっている。 アクセサリーを買ってもらうことで、深山さんが骨や角を猟師から買い取れるようになり、深山さんの買い取りのお金で猟師たちがガソリンや(鉄砲の)弾を買うなど、有害鳥獣駆除の活動の資金源にしてもらえるという。 猟師でありアクセサリー作家である深山さんは、「白くてきれいで身につけやすくて魅力的な素材なので、色々な方に手に取って着けてみてもらいたい」とシカの骨で作ったアクセサリーの魅力を語る。 そして、「そこからシカが増えている現状や猟友会の現状などを知っていただけたらうれしい」と語った。 やわらかい色、衣服になじむデザイン、持続可能な狩猟に深山さんが作り出すアクセサリーは未来を見据えている。 ※撮影:舟野洋平カメラマン
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