<CLOSE UP TEAM>エイジェック(3年ぶり2回目 小山市・栃木市/北関東第1代表) 新風を吹かせる【前編】
強敵を撃破し、第1代表で東京ドームに帰ってくる。競争激しい環境で、チームは確かな力をつけてきた。前回出場時は初戦敗退。まずは1勝をつかみにいく。 取材・文=大平明 写真=福地和男、エイジェック野球部提供 【選手データ】内田靖人 プロフィール・NPB通算成績
北関東大会(二次予選)を3連勝で勝ち上がり、本戦出場を初めての第1代表で決めたエイジェック。台風の目となったチームを率いるのは難波貴司監督(東海大)だ。 「創部7年目で選手の平均年齢が24.5歳という若さが売り。予選ではその若さという強みが出ました」 オフシーズンは基礎体力を上げるトレーニングを重点的に行ってきたというが、それも都市対抗の予選をにらんでのものだった。「北関東大会は1週間という短い期間で3~5試合を戦うスケジュールになっています。その厳しい予選で実力を発揮して戦い抜くためには肉体も精神も鍛えておく必要があるので、体幹を中心にトレーニングをしています」。
ただ、シーズンインしてからは順風満帆とはいかなかった。5月までのJABA大会は日立市長杯で3連敗を喫するなど予選リーグを突破することができず。オープン戦も企業チームには大きく負け越し、特に予選直前に行われた6試合は全敗した。それでも苦しい時期を乗り越えられた理由として、指揮官が名前を挙げたのが主将の京橋幸多郎(白鴎大)だ。 「1対1のコミュニケーションを大事にし、ささいなことでも話し掛けて関係性を作ることで、それぞれの選手がどんな気持ちで練習に取り組んでいるのかを感じ取っていました。また、相手から思いを伝えてきてくれることもあったので、その思いがチームのプラスになるように心掛けています。シーズンに入ってからはなかなか結果が出ず、かみ合わないときもありましたが『勝つために何ができるのか、矢印を自分に向けてやっていこう』と声を掛け、モチベーションを落とさずにチーム全員で戦うことを意識してきました」(京橋) また、チームをまとめるうえで佐藤靖剛(桐蔭横浜大)や楽天でプレーしていた内田靖人(常総学院高)といったベテランの力添えがあったことも明かす。 「新人に対して、練習のときから『そんな緩いプレーをしていたら勝てない。もっとこうしなきゃいけないんじゃないか』と声を掛けてくれました。そうした声が徐々に伝わっていったことが若い選手の活躍につながったと感じています」(京橋) 北関東二次予選では片平吉信(城西大)と高岡佳将(上武大)のルーキーコンビが一、二番で起用されたが、難波監督も「新人らしからぬプレーでチームを引っ張ってくれました」とその働きを認めている。