トマトの本場イタリアからトマト缶で熱い視線 伊・野菜保存食品協会のジョバンニ 統括部長に聞く
生食や生鮮信仰が根強い日本に向け、トマトの本場イタリアから、トマト缶詰の特徴を猛アピールする人がいる。 EUの中で加工用トマトでトップの生産量を誇るイタリア。そのイタリアのトマト保存加工企業で構成するイタリア野菜保存食品産業協会(ANICAV)のジョバンニ 統括部長は、「地中海の太陽のもとで育てられたトマト缶詰に使われるトマトは、真っ赤に完熟した時に摘み取られ、リコピンなどの有用な栄養素を含み、摘みたての鮮度が保たれるトマト缶詰は、生鮮トマトと違って1年中食べられるので生食よりも優れている」と強調する。 ANICAVは、欧州連合(EU)の経済協力により展開する欧州産トマト保存食品の啓発キャンペーン「レッドゴールドフロムヨーロッパ(Red Gold From Europe)」を展開しており、日本のフードサービスや小売店に売り込みをかける。 ナポリや古代都市ポンペイ、アマルフィー、カプリ島など観光スポットが点在するイタリア南部のカンパーニア州。そのカンパーニア州サレルノ県周辺は最もトマト加工工場が多いエリアとして知られ、家族経営の工場も多い。 西暦79年に起きたベスビオ火山の大噴火がもたらした肥沃なミネラル堆積物により、トマト栽培にも好循環をもたらしているとされている。 4~5月にトマトの定植を終え、エリアによって多少開きがあるが、7月中旬から収穫作業を開始し、8月中旬に収穫を終える。 今年の収穫量は平年並みと農場関係者。主にピューレやペーストなどの加工品用トマトを出荷している。
高品質トマトと150年の歴史ある工場が自慢
工場が密集するカンパーニア州サレルノ県周辺では加工用に使用されるサンマルツァーノ種の細長いトマトを栽培。この地域はヨーロッパの保護原産地呼称認証(DOP)によって保護されており、一定の地域でしか生産されないので、価格はやや高め。 収穫されたトマトは速やかに加工工場に運ばれ、皮を剥いたホールトマトを缶詰に入れ、工場から世界中に輸出される。 最大マーケットはアメリカで、日本は2番目。「日本とアメリカは品質基準が異なるが、高品質商品しか輸入しない日本はとてもありがたい」とジョバンニ 統括部長は語っている。 イタリアのトマト缶の自慢はトマトそのものと共に近代的な工場にもある。同地区内の多くの工場は「安全性、衛生的に優れており、加工には150年の歴史と経験がある」と歴史を育んだイタリアならではのコメントだ。