憲裁裁判官を任命しなければ「6人体制」も崩壊…尹大統領の弾劾手続きストップ(1)
韓国最大野党「共に民主党」が26日、韓悳洙(ハン・ドクス)大統領権限代行首相に対する弾劾訴追案を発議・報告して「大統領権限代行の代行体制」という憲政史上前例がない「霧の中」政局が目前の現実として迫ってきた。与野党が韓代行の弾劾訴追案議決定足数を巡り正反対の解釈を出していて、弾劾案可決の効力を巡って対立する無秩序状態が展開する危機に陥っている。 民主党は韓代行に対して首相・国務委員の基準である在籍議員過半(151議席以上)を主張している。趙承來(チョ・スンレ)首席報道官はこの日、非公開最高委員会の直後、「国会議長が議決する場合、『首相・韓悳洙弾劾案は可決された』と宣言した瞬間に可決に固まる」とし「国会議長室もすでに検討を終えたと理解している」と話した。民主党はこの日提出した弾劾案に韓代行の職位を「大統領権限代行」ではなく「国務総理(首相)」とだけ書いた。姜由楨(カン・ユジョン)院内報道官も「一度も進んだことのない道だが、国会議長が151議席以上で可決を宣言した瞬間、前例になり判例的機能を果たすと考える」と主張した。ただし、議長室はこの日「弾劾訴追議決定足数を151議席に確定したことはない」という立場を出した。 与党「国民の力」は「韓代行弾劾案が可決されるには200議席が必要だ」〔権寧世(クォン・ヨンセ)非常対策委員長内定者〕と主張している。国民の力は野党単独(192議席)で可決されて賛成票が200議席に達することができない場合、弾劾訴追自体を受け入れないという立場だ。徐知英(ソ・ジヨン)院内報道官はこの日「弾劾案が可決されても韓代行が退かないよう建議する考えか」という取材陣の質問に「国政が揺らぐ危機状況であることから、韓代行以下すべての長官が国政にまい進することを期待する」と話した。与党関係者は「民主党出身国会議長が一人で可決だと宣言しても要件が合わなくてはいけない」と主張した。 韓代行が151議席以上の賛成に伴う弾劾訴追を受け入れようが受け入れまいが、最終判断は憲法裁判所の役割となる。憲法裁判所関係者はこの日、大統領権限代行弾劾定足数問題に関連した質問に「憲法裁判所に弾劾審判請求が受け付けられた後、全員裁判部が判断する事案」としながら言葉を慎んだ。大統領権限代行に対する弾劾議決定足数に関する憲裁決定例がなく、権限代行に対する弾劾訴追自体が初めてのことだからだ。韓代行が弾劾訴追を受け入れなければ民主党が憲法裁判所に権限争議審判を請求する可能性が高い。この場合、議決定足数を巡る対立はさらに大きく、さらに長く持続するよりほかなくなる。 韓代行が職務遂行を継続するなら即刻逮捕するべきだという主張まで出てきた。高麗(コリョ)大学法学専門大学院の金善擇(キム・ソンテク)教授は「弾劾案が可決されれば直ちに次の継承者が大統領権限代行として国務会議を開いて国民向け談話を発表することになるだろう」としながら「それでも韓首相が総理室に座り続けるのなら、直ちに逮捕しなければならない」と話した。ただし、金教授は「韓代行が引き続き職務を遂行するならこれは憲法違反で、弾劾認容(罷免)可能性を高めるので本人が試みることはないだろう」と見通した。