Bリーグ初代王者に栃木を導いたレジェンド田臥勇太のプロ意識
栃木の指揮を執るウィスマンHCは、2008年から解任された加藤氏の後を受けてHCに就任、2009ー2010年にチームを悲願の初優勝に導いた。その手腕が評価されて、途中、日本代表監督も務めたが、2014年から再び栃木に復帰していた。今季から“ビッグマン”の竹内広輔(33)とギブズを獲得するなど、ポイントを補強したが、田臥を軸にした基本メンバーは、ここ数シーズン変わっておらず、この戦術的なディフェンスを主体にトランディションオフェンスへのスタイルを熟成させた。阿吽の呼吸がチームに出来上がっていた。 試合後、ロシターが打ち明けたが、開幕前のミーティングでウィスマンHCは、こう言ったという。 「素晴らしいチームとは、個人プレーに走らずチームのことを考えているチームだ。そういうチームが強い」 田臥も、長いシーズンを振り返って、こう続ける。 「戦いながらチームは進化、成長していった。勝ちも負けもあった。負けたときにこそ、それをどう成長に生かすかが大事だった。個人個人が個のレベルを伸ばす努力をしてきた。その積み重ねの勝利だ」 ちなみにリーグ戦、東地区での成績は46勝14敗だった。 ファイナルの観客動員は、1万144人だった。シーズンを通じてBリーグ元年の観客動員は225万人を突破した。「こういう舞台で戦えることを夢見ていた」と、何人かの選手が言ったが、オープニングセレモニーからクロージングセレモニーまで会場を包んだ熱気と空気は、まさに日本版NBAの世界だった。 そして67試合を戦ったチームは、田臥が語るように、進化してプロらしいレベルの試合を披露した。元東芝vs元リンク栃木のファイナルは、予想通り元NBL同士の決戦となったが、栃木は、JBL→NBLのチームの中でも企業をバックに持たず経営スタイルはどちらかと言えばbjリーグのチームに近いプロチームだった。 「NBLとbjリーグで合体したことでチームが増え、競争が激しくなった。だからこそ成長するチャンスがある。Bリーグは可能性を秘めたリーグだし、そうしていかなければならない」 レジェンドでBリーグ元年の顔であった田臥率いるプロチームが頂点に立つのも出来すぎたドラマだったのかもしれない。