「なあに、かえって免疫力がつく」ってホント? パリ五輪“セーヌ川・大腸菌問題”を例に内科医に大真面目に聞いた
少し前になるが、パリ五輪のトライアスロン会場となったセーヌ川の大腸菌汚染が取り沙汰されたことを覚えている人もいるだろう。選手の身を案じる声が集まるなか、中には“レース前からトイレで手を洗わず、大腸菌に慣れておくという珍妙な対策をした選手もいたようだ。こうした状況に日本のSNSやWEB掲示板では、「なあに、かえって免疫力がつく」などと揶揄された。この言い回しはネットミームのように使われる言葉だが、実際そうしたことはあり得るのか? 大真面目にクリニックフォア内科専門医に聞いてみた。 【写真】原因不明の腹痛に襲われたノンスタ井上、妻の手料理に大反響 ■まったくの嘘ではない? だが「セーヌ川で大丈夫でも道頓堀に飛び込んで無事とは限らない」 ――「なあに、かえって免疫力がつく」というネットミームは、不衛生なことなどをした場合に無理にポジティブに肯定する、わかっていて揶揄するように使います。たとえば「1週間経過したカレーを食べる⇒なあに、かえって免疫力がつく」など、「それはないだろ!」というツッコミ待ちのような…。ズバリお聞きしますが、「なあに、かえって免疫力がつく」というのは本当なのでしょうか? 「これはですね、答え方はすごく難しいですけど… “やや本当”です(笑)」 ──本当なんですか!?(笑)。 「感染症などにかかると、一過性の免疫がつく可能性はあるので…。ただ、もちろんネットミームをそのまま信じるのは危険です。セーヌ川を例に挙げるならば、一度その川にいる大腸菌に感染すれば、免疫がつくことはあるかもしれません。ただ、セーヌ川の大腸菌が一種類とは限らない。大腸菌も種類が多いので、次は違う大腸菌に感染する恐れもありますし、セーヌ川で大丈夫だからといって道頓堀に飛び込んで無事とは限らない。すべての大腸菌への免疫がつくわけではないという意味では、単なるジョークとして捉えるのがいいと思います。一部の菌について免疫がつく可能性はゼロではないので、まったくのウソとは言えないというだけです」 ――なるほど。 「大腸菌は口から入ると胃腸炎をおこしやすくなり、嘔吐や腹痛、下痢、血便などの症状に見舞われます。また、膀胱炎など泌尿器系のトラブルを引き起こすことも。男性もありますが、とくに女性は注意が必要ですね。セーヌ川の例でも、このような曝露が予想されます」