冷戦期の遺物「核共有」にこだわる石破首相の思考。アメリカは拒否、核不拡散条約違反との批判も
■内閣官房参与は「核共有」と核武装を提唱 また、石破茂内閣の内閣官房参与(外交・安全保障担当)に任命された川上高司元拓殖大学教授は、2023年夏に『海外事情2023年7・8月号』(拓殖大学海外事情研究所刊)で、「日本の核シェア――米国の拡大抑止をいかに確保するか――」という論考を発表している。 さらに、川上氏が理事長を務める「日本外交政策学会」は、今年6月20日、理事長名で「戦後最悪の状況、露朝同盟の締結 ――日本には核武装しか選択肢はない! ――」と題された小文を掲載している。核共有では「核のボタンを押す権利がない」から、「米国が核を日本に許与して日米安保の枠組みで核武装をする」「イギリス型の核武装」を追求すべきだという。
前半の「核のボタンを押す権利はない」との認識は正しいが、後半の「核武装を追求すべき」という主張は穏やかではない。このような主張をする人物が首相のブレーンであると言われていて、内閣官房参与となっているのは気がかりだ。 10月27日投開票の衆議院選挙の後、自民党内で、アジア版NATO、核共有、日米地位協定改定などについて議論が始められるという。 自民党総裁選後に政務調査会会長に就任した小野寺五典氏は、上述の2022年3月の核共有問題勉強会を安全保障調査会が開いた際の同調査会会長だった。
核共有の是非については、内外の専門家や関係者から情報を集めて共有し、まっとうな結論を出すよう望みたい。
田窪 雅文 :ウェブサイト「核情報」主宰者