「お帰り、ご飯あるよ」「何それ、イヤミ?」凡人夫が悔し涙。「仕事だけはデキる妻の、あまりにも扱いにくい人格」
「交際1年半、29歳で結婚し、最初は“赤ちゃん欲しいね”と言っていました。その風向きが変わったのは、31歳で妻が管理職になったこと。彼女の数字のノルマは重くなり、出張も多く、誕生日や結婚記念日など、妻が地方いることも増えました。その頃から、僕は同期や先輩から“負け犬”、“逆タマ”と揶揄されるように」 妻も結婚してから本性を見せた。それはイライラすると、身近な人にケンカを吹っかけてくるところ。いずれも発端は理不尽だ。いちばん記憶に残っているのは、紀明さんが妻より先に帰り、妻の好物であるタイ風のガパオライスを作って待っていた日の出来事だった。 「夕飯あるよ」とLINEを送っても既読にならず、紀明さんは23時まで待っていた。疲れた妻に手料理を食べさせ、喜ぶ顔が見たかったという。 紀明さんが「お帰り。食事があるよ」と伝えると、妻は突然怒り出した。そして「何それ、イヤミ? 私は夕飯が作れないダメな妻ですよ」と当てつけのように言い出した。 紀明さんが「そういう意味じゃない」と言うと、大げさにため息をつき、「だって、イヤミったらしく寝ないで待っている。ムカつくんだよ。作ってあるなら勝手に食べるから、ほっておいて」と言う。黙ってると「あなたの部署は余裕があるのね。早く帰れていいわね」と追い打ちをかけた。 「僕がショックを受けて、“もういいよ”と作ったガパオを捨てたんです。すると妻は鬼の首を取ったように怒り、“食べればいいんでしょ!”とテーブルを叩いた。思いがけず、涙が込み上げました」 他にも数えきれないくらいの同じような出来事があった。家庭の空気はぴりぴりし、紀明さんは妻のケアをあきらめ、仕事に打ち込んだ。そして、32歳の時、妻より1年遅れて管理職になった。 「それでも僕の出世は同期よりは早いんですよ。妻と同じ立場に立つと、妻の苦しみもわかる。妻も歩み寄ってきたので、なるべく話を聞き、一緒に映画や食事をする時間を増やしていったんです。でも、いつの間にか妻の機嫌がこじれて帰宅することが増えました」 おそらく、妻はいら立ちを直接ぶつけることが、愛情表現なのだろう。しかし、ぶつけられた方はそうはいかない。心の距離が離れれば、妊活どころではなくなる。 ☆次回では、ますますモラハラの度合いを強めていく管理職妻との妊活。そして「離婚を考えている」という心境にまで至った、夫婦の実態を詳細にレポートする。ぜひ反面教師として読み進めてほしい☆ 沢木史