「2型糖尿病」発症リスクは“果汁100%ジュース”で増加 子どもの頃から加糖飲料を飲む危険
アメリカのハーバード大学医学大学院らの研究グループは、「幼少期から10代前半に果汁100%ジュースなどを多く摂取していた男子は、思春期後期のタイミングでインスリン抵抗性が亢進し、2型糖尿病の発症リスクが高い状態にある」という研究結果を報告しました。 【イラスト解説】糖尿病の人が“食べてはいけないもの” この内容について中路医師に伺いました。
研究グループが発表した内容とは?
編集部: アメリカのハーバード大学医学大学院らの研究グループが発表した内容を教えてください。 中路先生: 今回発表された研究は、アメリカのハーバード大学医学大学院らの研究グループが発表したものです。 研究結果は2024年3月に開かれたAHA(アメリカ心臓協会)の生活習慣科学セッションで紹介されたもので、査読を受けて学術誌に掲載される前の情報であることは留意が必要です。研究対象となったのは455⼈で、そのうち女子は240人でした。 対象者に関する食物摂取頻度調査票(FFQ)の結果を解析したところ、男⼦は幼少期から思春期前期にかけて加糖飲料を毎⽇約237ml摂取すると、思春期後期のインスリン抵抗性は34%⾼いことが分かりました。 つまり、細胞が⾎液からブドウ糖を取り込みにくくなっているということなので、2型糖尿病の発症リスクが⾼い状態にあると言えます。 報告された研究によると、幼少期から思春期前期にかけて加糖飲料を毎⽇約237ml摂取していた男⼦は、思春期後期の空腹時⾎糖値が5.6mg/dL⾼値であり、HbA1cは0.12%⾼い結果が出たそうです。 男子についてこのような変化がみられましたが、⼥⼦については顕著なリスク上昇は⾒られなかったとのことです。 また、幼少期から思春期前期にかけて果汁100%ジュースを1⽇に1回摂取すると、男⼦では思春期後期のHbA1cが0.07%⾼く、⼥⼦ではHbA1cが0.02%高いことと関連がみられたそうです。
2型糖尿病とは?
編集部: 今回の研究テーマとなった2型糖尿病について教えてください。 中路先生: 2型糖尿病は、糖尿病の中でも患者数が最も多いタイプです。遺伝的な理由によるインスリン分泌の能力低下に加えて、生活習慣の悪化に伴うインスリン抵抗性が起こり、インスリンが相対的に不足した場合に発症します。 一般的に生活習慣病と呼ばれる2型糖尿病は、インスリン分泌の能力低下が鍵を握ります。生活習慣が乱れることだけではなく、2型糖尿病患者は糖尿病になりやすい遺伝的な理由を持っているとも言えます。 ゲノム解析では2型糖尿病の要因となる多くの遺伝子が報告されており、中でも「KCNQ1」という遺伝子は、日本人の2型糖尿病発症に強く関連していることが判明しています。 2型糖尿病の治療方法は、インスリン療法やインスリン以外の薬物療法、GLP-1受容体作動薬という注射薬などです。