「反対運動起こすから」。5200万円で土地を売ろうとした男性に「68歳の超迷惑隣人」が放った衝撃の一言
ついに買い手があらわれたが……
佐々木さんもCさんも「購入検討者へ河合さんとのやりとりを秘密にする」という選択肢は念頭になく、二人とも河合さんの問題を公表するという意向をもって、土地の売り出しを再開したのでした。 販売を再開する際に用いる「販売図面」や資料には、〈告知項目有〉と記載し、物件自体に問い合わせがあった際に、河合さんの問題について詳細を伝えるやり方で再開しました。 販売活動を再開すると問い合わせが数件発生しましたが、案の定河合さんのことを伝えると、ことごとく辞退という状況が続きました。 事情が事情のため、通常よりも売り出し価格の減額のペースを早くして、1~2ヵ月ごとに100万~200万円ずつ減額していきました。 半年が経過した時点で、5200万円で販売開始した土地が4780万円まで下がってしまったのですが、そんな中で、とある仲介業者さんから問い合わせがありました。前向きに検討しているお客様がいるというのです。 Cさんはいつもの説明(河合さんのこと)をおこなったのですが、それも「問題ない」という初の回答がきました。 しかしながら、そこには一つ条件がついていました。 4780万円で販売しているところ、4500万円に減額して欲しいという条件でした。 Cさんと佐々木さんは足元を見られている可能性があることも考慮し、慎重に協議をしましたが、販売を始めてから経過した期間や、現状の引き合い件数、そして河合さんの事情を勘案したうえで、価格について合意をすることにしました。 購入した方は海外の方で、大柄な体格のディーマさんという方。現金購入とのことでした。 ディーマさんは河合さんの件について、 「何か言われても自分で対抗するから心配無用。むしろこちらがお金をあげるから、向こうに窓の位置を変えてもらいたい」 と冗談なのか本気なのかわからないことを言っていたそうです。とにかく「まったく気にしない」と断言なさっている方でした。 そのお言葉を耳にした佐々木さんやCさんは、本来は双方(佐々木さん、河合さん)の折り合いがつくことが希望だったのですが、心のどこかでディーマさんが河合さんを無視する未来を想像し、スッキリした部分もあったようです。 ディーマさんが河合さんを無視してしまうことのしわ寄せが佐々木さんに来るかもしれないという懸念も頭をよぎりましたが、悪いことをしているわけではないので気にしないことにしました。 河合さんの件を記載した契約関連書類にて佐々木さんとディーマさんは契約を交わしてから早6ヵ月、地盤改良や基礎工事が着工しましたが今のところ河合さんからは何の音沙汰もないようです。 河合さんが正解なのか、佐々木さんやCさんが正解なのか、はたまた佐々木さんと河合さんしか知らない「ボタンの掛け違い」や「確執が生まれた何か」があったのか……。 完全なハッピーエンドとは言えないのですが、Cさんが事前に河合さん宅へあいさつに行ったことにより、田村さんや佐々木さんが救われた事実だけは確かなものと言えるでしょう。 ここから得られる教訓は、ケースバイケースの部分はあるものの、 ・土地を購入するときには、隣人にトラブルメーカーがいないかを確認する ・土地を売る場合には、近隣の人に声をかけておく というものでしょうか。これから家を購入するという人、売却するという人は、参考にしてみてください。
齋藤 剛(「住」生活アドバイザー・クレイン不動産流通株式会社 代表取締役)