「反対運動起こすから」。5200万円で土地を売ろうとした男性に「68歳の超迷惑隣人」が放った衝撃の一言
「窓の位置」という大問題
しかしやはりそのような協定は存在しなかったのです。河合さんが勘違いしているのかもと思い、河合さんと約束した日時に訪問して説明を聞いてみました。 ピンポーン インターフォンを鳴らすとすぐに河合さんが出ました。 河合さん「どうも」 Cさん「こんにちは、本日はよろしくお願いいたします。先日の建築協定について関係各所へ調べてきましたが該当するものがございませんでした。どのようなものなのか、教えてください」 Cさんは玄関先でこんなふうに話を切り出しました。 Cさんは人当たりがいいと評判で、今回もいつも通りに丁重かつ友好的な姿勢でのぞみました。 河合さん「あれ? あるはずだけどなぁ。まあとにかく建築協定の内容は、窓の設置についてだよ」 Cさん「窓の設置位置についてですか。」 河合さん「うん、要するに、こちら側には窓は一切つくらないでってこと。先に住んでいる我々が覗かれたら迷惑だから。家にいるときぐらいは落ち着かせてよ」 ここで佐々木さんの自宅、田村さんに売却予定の土地、そして、河合さんの自宅の位置関係をお伝えしておきます(図1を参照。外部配信先でお読みの方は、現代ビジネス本体でご覧ください)。 河合さんの自宅の西側1階にはLDKと思われる部屋がありました。その部屋には、大きな引き違い窓があり、2階にもそれよりすこし小さな引き違い窓があるのです。 売却予定の佐々木さんの土地に田村さんの家が建つと、田村家の1階室内からは、外構のフェンスや植栽で河合家の窓は見えませんが、田村家2階室内からは、河合家の1階LDKにある窓や2階の窓のなかが見え、なかにいる人とも目線が合う可能性はなくはありません。 しかし、そもそも河合家の窓と、これから建つ田村家の窓の間には、幅員4.5mの道路に加えお互いの敷地もあります。少なく見積もっても、窓と窓は8mは離れていると想定できる位置なのです。 Cさんは、河合さんが気にしすぎであると感じましたが、相手を刺激しては大変だと、いったん引き下がることにしました。 「河合様のご要望に内容については承知しました。あらためて関係各所に確認したいため一旦持ち帰らせてください」 帰社したCさんはそのことを上司へ報告し、後日、佐々木さんと自治会の組長さんやご近所さんにヒアリングをおこないました。さらにあらためて市役所へも調査にいきましたが、河合さんが主張する協定の話は一切存在しません。佐々木さんと河合さんもトラブルや紛争などはないが、会ったらあいさつする程度の関係性とのことでした。 窓の設置に関する民法に照らしても、なにか問題があるとは考えられません。 【参考】民法235条 第1項 境界線から1m未満の距離において、他人の宅地を見通すことのできる窓または縁側(ベランダなどを含む)を設ける者は、目隠しを付けなければならない。 第2項 前項の距離は窓または縁側の最も隣地に近い点から垂直線によって境界線に至るまでを測定して算出する。