鈴木彩艶が愛される理由 イタリア人記者が明かすパルマでの生活とレジェンドGKの称賛
【「かなりの伸びしろを感じる」】 それよりも彼に日本を思い出させるのはコーチたちだろう。監督のペッキア、アスレティックコーチ(フィジカルトレーナー)のマルコ・アントニオ・フェッローネ、そしてGKコーチのヴィスコンティ・ヴァレーリオの3人は、2018-19に日本のアビスパ福岡に所属していた経験がある。彼らは時に、日本語を交えて彩艶に話しかけてくるそうだ。そのことに彩艶は感謝しているし、なにより彼らが彩艶を気にかけ、評価している証拠でもある。 今後の見通しはかなり明るいと、筆者は思う。この調子で、地に足をつけプレーを続けていけるだろう。それは決して私だけの意見ではない。現在のパルマGKをどう見るか、私は彼の先輩にあたるマルコ・バロッタに尋ねてみた。90年代前半にパルマにカップウィナーズカップとUEFAスーパーカップというタイトルをもたらした、チームの歴史に名を残すGKのひとりだ。バロッタは喜んで彩艶について語ってくれた。 「彼のことは知らなかったし、最初、彼のパルマ加入の話を聞いた時は、正直、少し困惑した。イタリアにも優秀なGKはたくさんいるのに、なぜわざわざ日本人を......というのが率直な感想だった。しかし今、私の目の前にいるのは、信頼できる、反射神経も足さばきもすばらしいGKだ。 パルマがなぜわざわざ彼を獲得したのか、その理由は大いに納得できた。22歳と若いのに、すでに自分のスタイルも持っている。もちろん今後、成長しなければいけない点は多々あるけれど、彼ならばきっととそれができると思う。彼にはかなりの伸びしろを感じるよ」 現在(第15節終了時点)、パルマは14位。セリエA残留を確かなものにし、より上位を目指すためには、その活躍が必須となる。
マルコ・パソット●文 text by Marco Pasotto