鈴木彩艶が愛される理由 イタリア人記者が明かすパルマでの生活とレジェンドGKの称賛
【寿司レストランには行かない?】 ピッチでは多弁な彩艶だが、ロッカールームに入ると途端に言葉が少なくなってしまう。別にむっつりしているわけではないのだが、ワイワイと騒ぐ中心ではない。今のところ、一番仲がいいのはスイス人MFのシモン・ゾームで、試合前のキャンプでもルームメイトだ。 パルマが練習を行なうコッレッキオのスポーツセンターでは、彩艶は「落ち着いていて、仕事熱心」として知られている。一番先に練習場に現れ、集団での練習が終わったあとは、ひとり黙々とジムで自主トレーニングをしている。 彼はマンチェスター・ユナイテッドやチェルシーといったプレミアリーグの花形チームからのオファーを断り、まずはベルギーのシント・トロイデンでプレーし、そしてイタリアの、決してビッグクラブではないパルマにやってきた。それは自分を成長するために、確実にプレーさせてくれるチームを選択したからだ。そこに彼の頭のよさが感じられる。 周囲のみんなが好意的に見ているのは、彼がイタリア到着初日から、イタリア語を話そうと努力をしていることも理由のひとつだ。チームメイトともイタリア語でコミュニケーションを図っている。今のパルマには実に17の国籍の選手がいて、もしかしたら英語を使ったほうが楽かもしれない。それでも彼は、一生懸命イタリア語でしゃべろうとしている。その姿勢はチームにとっても、ファンにとってもうれしいものだ。 パルマという町は、ヨーロッパのサッカーに挑戦する選手にとっては理想的であると思う。彩艶はその中心部に住んでいるが、町は静かで落ち着いていてコンパクト。人は温かく、サッカー的にも特に大きなプレッシャーはなく、食べ物はおいしい(パルマがあるエミリア・ロマーニャは美食の土地として有名。パルメザンチーズや生ハムもパルマの名産品だ)。 食べ物といえば、彩艶にはすでに行きつけのレストランがいくつかある。ある店の店主よると、彼のお気に入りのメニューはスパゲッティ、そしてパルマ名産のトルテッリ(中に肉やチーズなどの詰め物をしたパスタ)だそうだ。パルマには寿司を食べさせるレストランもあるが、チームメイトに誘われても、彼は行かないのだという。イタリアナイズされた寿司を食べるのは怖いらしい。