ハリルホジッチ監督がポリシーを覆した理由
10月6日に行われるW杯アジア最終予選の第3節・イラク代表戦(埼玉スタジアム)、同11日の第4節・オーストラリア代表戦(メルボルン)に臨む日本代表メンバー26人が29日、日本サッカー協会から発表された。 UAE代表に苦杯をなめ、タイ代表には辛勝した前回シリーズの最終的なメンバー人から外れたのは、GK林彰洋(サガン鳥栖)とDF遠藤航(浦和レッズ)の2人。代わりにGK川島永嗣(メス)、槙野智章(浦和)と長友佑都(インテル)の両DFが復帰し、MF永木亮太(鹿島アントラーズ)が初招集された。 永木を除けばハリルジャパンの常連といえる顔ぶれだが、欧州の新シーズンが進むにつれてヴァイッド・ハリルホジッチ監督は予期せぬ問題に頭を悩ませていた。主軸を担う欧州組が、所属クラブで軒並みベンチウォーマーを強いられているからだ。 例えばFW本田圭佑(ACミラン)は、6試合のうち途中出場で2試合、わずか19分間に出場しただけ。DF吉田麻也(サウサンプトン)も開幕戦で先発フル出場した後は、5試合連続でリザーブに甘んじている。 FW岡崎慎司(レスター)、MF香川真司(ドルトムント)、MF清武弘嗣(セビージャ)と過去最多の3人が挑んでいるチャンピオンズリーグでも、グループリーグの2試合を終えた段階で誰もピッチに立っていない。 招集された15人の欧州組でポジションを確保しているのは酒井宏樹(マルセイユ)、酒井高徳(ハンブルガーSV)の両サイドバックとFW原口元気(ヘルタ・ベルリン)の3人のみ。川島に至っては、いまだにベンチ入りすら果たしていない。 東京・文京区のJFAハウスで記者会見に臨んだハリルホジッチ監督は、「今回のリストを作成するのは本当に難しかった」と偽らざる本音を漏らしている。 選手選考に当たって、指揮官は「試合が最もいいトレーニングである」というポリシーを貫いてきた。前回シリーズで川島を選外とした際には、GKに招集した3人のJリーガーを引き合いに出しながら、復帰への条件をこう公言している。 「先発で出場しなければ、この3人の争いの中にも入ることができない」 今回の川島復帰に関しては強烈な存在感で仲間を鼓舞し、チームのメンタルを押し上げる役割を託すための例外だと指揮官は明かした。しかし、本田や香川、今夏に移籍したアウグスブルクでわずか8分間の出場に甘んじているFW宇佐美貴史らの招集は、明らかにポリシーに反する。