今40・50代が1000万円投資するなら「一括」「分割」どっち?金融のプロ「インフレより暴落の方がスピードが速いから…」
◆「分割」と「スポット買い」を賢く組み合わせる方法 もし「これは明らかに大暴落だ」という時が来たら、1000万円まではいかなくても、「スポット買い」と言って、ある程度まとめて買うのが賢い投資だと思います。 実際、さわかみファンドのファンド仲間には、大暴落になるのを見計らってスポット買いをする人もたくさんいます。 整理しますと、1000万円あったら株価が明らかに下がっている大暴落の時期を除き、一般的には購入価格を平準化できる分割をおすすめします。 少し慣れてきたら、分割とスポット買いの組み合わせもイメージしていきましょう。
◆「ファイナンシャルインディペンデンス」 「ファイナンシャルインディペンデンス(Financial Independence)」という言葉、聞いたことがありますか? 直訳すれば「経済的自立」になります。 長期投資を続けて、生活に必要な額を取り崩しても、投資による資産増加額のほうが上回り、資産額が減らないことを言います。つまりはお金の心配、不安から解放された状態です。 「そんな夢のような……」と思うかもしれませんが、時間を味方につけて長期投資を続けていれば誰でも決して無理なことではありません。 もちろん、毎月の生活費がいくらくらいかかるのかは個人差が大きいと思います。 10万円あればいいという人もいれば、20万円、30万円欲しいという人もいるでしょう。 要は、その人が満足できる生活を送れるかが大切です。 たとえば前項で想定した、65歳で3000万円を基準にした場合は、利回り5パーセント運用で考えると年間150万円のリターン、月に換算すると12・5万円です。
◆リタイア後の生活をイメージしてみよう 3500万円の資金がある人は利回り5パーセントで運用すれば年間175万円のリターンがあります。 月に換算すると約14・6万円。 この金額を切り崩しても3500万円のラインは維持できる計算です。 リタイア後の生活を考えた場合、年金に14・6万円を加えればだいぶ余裕ができるのではないでしょうか。 将来受け取れる見込みの年金額も考え、自分は老後どれくらいの生活資金が必要なのかを試算してみるとよいかと思います。 大事なのは、資金が3000万円、あるいは3500万円だとしても、長期投資でお金を働かせているからこそリターンのみを切り崩して生活できるということです。 もちろん株価が下がり、資産が減ってしまう可能性はありますが、利率のほとんどない預金を切り崩して生活するとすれば、いくら3000万円あっても目減りするばかり……。 入ってくるものがなく出ていくだけ、という状態は不安を生むものです。 日本の高齢者の資産はほとんどが預金です。 皆さんがこのうちの数パーセントでも投資をして働かせれば不安が薄れ、アクティブな人が増える、そして日本経済全体が元気になると思うのです。 ※本稿は『50歳から成功する長期投資 65歳でプラス3000万円』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。
澤上龍