なんと、70歳男性の半数が働く国になっていた…誰も教えてくれない「定年後の真実」
年収は300万円以下、本当に稼ぐべきは月10万円、50代で仕事の意義を見失う、60代管理職はごく少数、70歳男性の就業率は45%――。 【写真】意外と知らない、日本経済「10の大変化」とは… 10万部突破のベストセラー『ほんとうの定年後』では、多数の統計データや事例から知られざる「定年後の実態」を明らかにしている。
定年後の仕事「15の事実」
「老後2000万円問題」「65歳定年延長」などの話題があり、定年後に漠然とした不安を持つ人が増えている。 何歳まで働けばいいのか? 年収はどれくらいになるのか? 生活費はどれほどかかるのか? どのような業種で働くことになるのか? 定年前に何か準備すべきことはあるのか? 定年後が心配な人にとって、気になることは尽きない。 『ほんとうの定年後』が明らかにするのは、以下の定年後の仕事の「15の事実」である。 事実1 年収は300万円以下が大半 事実2 生活費は月30万円弱まで低下する 事実3 稼ぐべきは月60万円から月10万円に 事実4 減少する退職金、増加する早期退職 事実5 純貯蓄の中央値は1500万円 事実6 70歳男性就業率45.7%、働くことは「当たり前」 事実7 高齢化する企業、60代管理職はごく少数 事実8 多数派を占める非正規とフリーランス 事実9 厳しい50代の転職市場、転職しても賃金は減少 事実10 デスクワークから現場仕事へ 事実11 60代から能力の低下を認識する 事実12 負荷が下がり、ストレスから解放される 事実13 50代で就労観は一変する 事実14 6割が仕事に満足、幸せな定年後の生活 事実15 経済とは「小さな仕事の積み重ね」である
実は50代がターニングポイント
70歳男性の約半数が働くことになり、多くは非正規やフリーランス、年収は200万円台……それでも、「小さな仕事」に従事しながら、その仕事に満足し、「幸せな定年後」を送る人が多いという事実を意外と知らないのではないだろうか。 また、「定年後」の問題は、60代以降だけが当事者というわけでもない。たとえば、『ほんとうの定年後』のなかでは、〈キャリアの中で人は仕事に対する意義を見失うタイミングがあり、多くの人は50代でその転機を経験する〉と書かれている。 「他者への貢献」「生活との調和」「仕事からの体験」「能力の発揮」「体を動かすこと」「高い収入や栄誉」といった、日本人が働く上で感じる価値観を分析してみると見えてくることがあるという。 〈歳を経るにつれ、仕事を通じて感じる価値は減じていく。30代になると多くの因子が急激に下がり、仕事に対して緩やかに価値を感じなくなっていくのである。 人数自体は減少していくが、会社で地位を上げ収入を高めることに希望を見出す人は、30代や40代の時点でもなお一定数存在している。ただし、それ以外の要素はだんだんと重要だと感じなくなってくる。「生活との調和」は引き続き重要な価値となっているが、これは家庭を持って子供ができ、仕事を通じて家族の生活を豊かにすることを求める人が増えるということだろう。 多くの人が仕事に対する希望に満ち溢れていた20代から、人は徐々に仕事に対して積極的に意義を見出さなくなっていく。そして、落ち込みの谷が最も深いのが50代前半である。この年齢になるとこれまで価値の源泉であった「高い収入や栄誉」の因子得点もマイナスとなり、自分がなぜいまの仕事をしているのか、その価値を見失ってしまう。 定年が迫り、役職定年を迎える頃、これからの職業人生において何を目標にしていけばいいのか迷う経験をする人は少なくない。そうした現実がデータからうかがえるのである〉(『ほんとうの定年後』より) 人口減少と超高齢化のなかで、高年齢者の労働参加に対する社会的な期待は年々高まっており、定年後も働き続けることは「当たり前」になりつつある。 そうしたなか、統計データや事例から「定年後の全体像」を知る重要性はますます高まっているだろう。いまのうちから、自分なりの「定年後のキャリア」を描いておくことは遅くはない。 つづく「多くの人が意外と知らない、ここへきて日本経済に起きていた「大変化」の正体」では、失われた30年を経て日本経済はどう激変したのか、人手不足が何をもたらしているのか、深く掘り下げる。
現代新書編集部