食材を使い切るメニューを実現 サステナブルな新店3選
持続可能な循環社会の実現は社会全体で向き合う課題として、企業がSDGsに取り組む事例が増えている。各社における取り組みは、社会貢献という意味合いはもちろん、「企業のブランドイメージ向上」「省エネルギー対策、食品ロス対策によるコスト削減」「職場環境改善による従業員の満足度向上」などのメリットも大きい。サステナビリティの意識は中小規模の飲食店でも広がっており、各店の事例を見ると、独創的なメニュー開発にもつながる「廃棄食材の見直し」といった“食材ロス削減”から少しずつ取り組みを始める例が多い印象だ。今年オープンした新店舗で、サステナビリティを意識した3店をご紹介しよう。
牛タンの端材を調味料に活用 中国料理の手法で食材を使い切る
「厚っ、やわっ、うまっ。」な極厚牛タンが自慢の仙台牛タン定食店が7月、オープンした。同店の超極厚切り牛タンは、店内で3cmもの厚さに手切りして提供している。迫力ある厚みながらもその軟らかさには驚かされる。名物の「ひつまぶし御膳」は、牛タンをひつまぶし風に食べる新感覚の一品だ。 同店では、牛タンの硬い先っぽは低温調理にするなどすべて活用。また、成形した際に出る端材は細かく刻み、そのうまみと食感を生かす形で調味料に仕上げているというから珍しい。端材を混ぜ込むことで具材感のある調味料になり、牛タンに絡みやすく、これまでにない牛タンの食べ方提案にもなっている。 同店を運営するBLOOMの古山智代表取締役は、かつて中国料理の料理長を歴任していたことから、食材を余すところなく活用する手法が身についており、「どんな部位でもおいしいと言っていただけることに注力している」と言う。SDGsへの考え方は、「義務感というより、“ときめき”を提供することを第一義にしている」と、古山社長は話す。 【SDGsの取り組み】 ・牛タンの端材まで使い切る料理を意識してメニュー開発 ・端材は調味料に仕上げて提供 ●店舗情報「牛たん けやき 麻布十番店」所在地=東京都港区麻布十番1-6-6魚可津ビル2階/坪数・席数=20坪・24席/営業時間=午前11時~午後3時、午後5時~午後10時/平均客単価=2800~3000円